殿部穿通枝皮弁による仙骨部褥瘡の治療経験

「目的」仙骨部の褥瘡に対する手術的治療には, 大殿筋皮弁や回転皮弁など種々の方法があるが, 当院では殿部に存在する上殿・下腎動静脈の皮膚への穿通枝を血管茎とする筋膜皮弁による手術を行い, 比較的良好な結果が得られているので, 今回その手術方法・結果などについて報告する. 「対象」症例は平成5年4月~平成11年11月に仙骨部褥瘡に対して殿部穿通枝皮弁による手術的治療を行った9例である. 原疾患は脊髄損傷3例, 脳血管障害4例, その他2例(肺炎, 慢性関節リウマチ)で, 局所の感染症は, MRSA3例, カンジダ2例, 複合感染2例, 腸球菌1例で, 局所感染のないものが1例であった. 「手術方...

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Hauptverfasser: 中村信幸, 前田道宣, 島野晃雄
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「目的」仙骨部の褥瘡に対する手術的治療には, 大殿筋皮弁や回転皮弁など種々の方法があるが, 当院では殿部に存在する上殿・下腎動静脈の皮膚への穿通枝を血管茎とする筋膜皮弁による手術を行い, 比較的良好な結果が得られているので, 今回その手術方法・結果などについて報告する. 「対象」症例は平成5年4月~平成11年11月に仙骨部褥瘡に対して殿部穿通枝皮弁による手術的治療を行った9例である. 原疾患は脊髄損傷3例, 脳血管障害4例, その他2例(肺炎, 慢性関節リウマチ)で, 局所の感染症は, MRSA3例, カンジダ2例, 複合感染2例, 腸球菌1例で, 局所感染のないものが1例であった. 「手術方法」麻酔方法は, 全身麻酔ないしは腰椎麻酔にて腹臥位にて手術を行う. まず局所のデブリードマンを十分に行い, ポケット形成を認めるものはそれも完全に切除する. 次に超音波ドップラーにて穿通枝を数本同定しそれを軸に紡錘形の皮弁をデザインし, 筋膜をつけた皮弁を穿通枝を茎として完全に遊離する. 90度から120度皮弁を回転させ, 褥瘡部を覆い, 採皮部は縫縮する. 「結果」皮弁は全例生着した. 5例にmarginal necrosisを認めたが, 自然に治癒した. 合併症としては, 1例に術後皮下血腫を生じ, 血腫除去を行った. ドレーンの抜けた1例に対しては, ドレーンを再度留置した. 「まとめ」本法は採皮部の植皮が不要であり, また皮弁のデザインを2葉3葉にすることにより, 比較的大きな褥瘡でも一期的に閉鎖可能であり, 有用な手術方法と考える.
ISSN:0034-351X