寝たきり慢性関節リウマチ患者の治療経験

慢性関節リウマチ(以下RA)患者の中には関節の破壊が進行し歩行困難, 時には歩行不能となる症例がある. このようにして寝たきりとなったRA患者はRAの活動性が高く, 関節外症状を伴うことが多い. このことに加え患者の意欲の低下, 筋力低下, 上肢機能障害, 頸髄障害などが治療成績を低下させる原因となっている. 今回我々は1回の入院で多関節の人工関節置換術を施行することにより寝たきりの状態から再び歩行能力を獲得したRA患者3症例を経験したので報告する. 「症例」症例は全例女性であり, 入院時年齢は65歳, 59歳, 51歳であった. RA発症から歩行不能になるまでの期間は10年, 37年, 26...

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Hauptverfasser: 内納正一, 高下光弘, 藤川陽祐, 松本博文, 津村弘, 鳥須岳彦
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:慢性関節リウマチ(以下RA)患者の中には関節の破壊が進行し歩行困難, 時には歩行不能となる症例がある. このようにして寝たきりとなったRA患者はRAの活動性が高く, 関節外症状を伴うことが多い. このことに加え患者の意欲の低下, 筋力低下, 上肢機能障害, 頸髄障害などが治療成績を低下させる原因となっている. 今回我々は1回の入院で多関節の人工関節置換術を施行することにより寝たきりの状態から再び歩行能力を獲得したRA患者3症例を経験したので報告する. 「症例」症例は全例女性であり, 入院時年齢は65歳, 59歳, 51歳であった. RA発症から歩行不能になるまでの期間は10年, 37年, 26年であり, 歩行不能になってから初回関節置換術までの期間は4ヵ月, 2ヵ月, 3年であった. 入院時の関節所見は全例Stage IVで指関節のムチランス型を呈していた. Lansbury指数は127%, 110%, 73%であり, 関節置換数は4関節, 3関節, 3関節であった. 関節置換術を行った関節はそれぞれ両膝関節と両股関節, 両膝関節と左足関節, 両膝関節と右股関節であった. 退院時の藤林のClass分類は3d, 4a, 3dであった. 寝たきりのRA患者に対して手術を行う際には, 術前の機能評価に始まり, 全身の管理は勿論のこと, 機能再建のための手術の順序が重要な意味を持つ. 各々の症例に対し再建術の順序を, 術後のリハビリテーションや患者の意欲の獲得などを十分に考慮し計画する必要がある.
ISSN:0034-351X