サイトカイン定量による感染性と非感染性人工関節弛緩の鑑別
「目的」関節液中のサイトカイン濃度の定量により, 人工関節の弛みの原因が感染によるものか否かの鑑別を試みた. 「対象, 方法」弛みをきたした人工関節26例(感染例12例, 非感染例14例)を対象とし, インターロイキン(IL)-1αとβ, IL-6, IL-8, 腫瘍壊死因子(TNF)-α, IL-1レセプターアンタゴニスト(ra)の関節液中濃度を酵素免疫測定法で定量した. また, 化膿性膝関節炎8例, 変形性膝関節症104例についても同様の検討を加えた. 有意差検定にはANOVAとScheffe’s post hoc分析を用い, p<0.05を有意差ありとした. 「結果」IL-6の濃度は,...
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Format: | Tagungsbericht |
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Zusammenfassung: | 「目的」関節液中のサイトカイン濃度の定量により, 人工関節の弛みの原因が感染によるものか否かの鑑別を試みた. 「対象, 方法」弛みをきたした人工関節26例(感染例12例, 非感染例14例)を対象とし, インターロイキン(IL)-1αとβ, IL-6, IL-8, 腫瘍壊死因子(TNF)-α, IL-1レセプターアンタゴニスト(ra)の関節液中濃度を酵素免疫測定法で定量した. また, 化膿性膝関節炎8例, 変形性膝関節症104例についても同様の検討を加えた. 有意差検定にはANOVAとScheffe’s post hoc分析を用い, p<0.05を有意差ありとした. 「結果」IL-6の濃度は, 感染性人工関節と化膿性膝関節炎が非感染性人工関節より50~60倍高く(p<0.03), IL-8も, 非感染性人工関節より7~20倍高い値(p<0.05)を示した. 変形性膝関節症のIL-6, -8は, 非感染性人工関節と同程度であった. IL-1raについても, 感染性人工関節と化膿性膝関節炎では非感染性人工関節より有意に高い値が得られ(p<0.04), 変形性膝関節症では検出されなかった. また, 非感染性人工関節と変形性膝関節症では, IL-1αとβ, TNF-αは検出されなかったが, 感染性人工関節と化膿性膝関節炎では, すべての症例で軽度の上昇が見られた. 「結論」感染性人工関節から細菌を検出することは, 必ずしも容易なことではなく, 人工関節の弛みの原因が感染性か非感染性かを鑑別することは困難な場合が多い. 今回の検討により, 関節液中のサイトカイン濃度の定量は, 人工関節の弛みの原因が感染によるものか否かを鑑別するための1診断法として有効であることが示された. |
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ISSN: | 0034-351X |