口腔底腫瘍術後の摂食・嚥下障害に対する嚥下補助床の検討
前回, 我々は摂食・嚥下障害に対するoral prosthesisとして, Logemannの報告と同様な上顎のreshaping prosthesisを口腔底腫瘍術後の舌運動障害の1例に作製した. しかし, 上顎のprosthesisだけでは代償的改善が得られず, 下顎へのprosthesis作製を試み, 両顎へ装着したところ準備期, 口腔期の改善が得られ, これらprosthesisを嚥下補助床として報告した. しかし常食の咀嚼や咽頭への送り込みが困難で, 代償的改善は流動食やゼリーにとどまった. 今回同様な1例で常食の摂食・嚥下に耐えうる結果と咽頭期における効用が得られたので報告する....
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Veröffentlicht in: | リハビリテーション医学 2000, Vol.37 (12), p.1052-1053 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 前回, 我々は摂食・嚥下障害に対するoral prosthesisとして, Logemannの報告と同様な上顎のreshaping prosthesisを口腔底腫瘍術後の舌運動障害の1例に作製した. しかし, 上顎のprosthesisだけでは代償的改善が得られず, 下顎へのprosthesis作製を試み, 両顎へ装着したところ準備期, 口腔期の改善が得られ, これらprosthesisを嚥下補助床として報告した. しかし常食の咀嚼や咽頭への送り込みが困難で, 代償的改善は流動食やゼリーにとどまった. 今回同様な1例で常食の摂食・嚥下に耐えうる結果と咽頭期における効用が得られたので報告する. 「症例」57歳男性:口腔底腫瘍(T2N0M0)に口腔底全摘, 舌部分切除術, 遊離腹直筋皮弁の再建術を施行した. Eichnerの分類GroupB3. Videofluorography(VF)では咀嚼と咽頭への送り込み障害, 喉頭蓋谷の造影剤残留を認めた. 「方法」(1)嚥下補助床作製:上顎よりも下顎の嚥下補助床による機能的代償を重視して作製する. (2)嚥下補助床評価:VFで咽頭期, Visual Analog Scale(VAS)で準備期, 口腔期を評価する(VAS値が高いほど機能低下を示す:最大値10). 「結果・考察」術後6ヵ月で完成した両顎嚥下補助床装着でのVFでは喉頭蓋谷の造影剤残留改善が得られ, 理由として舌根部の後方運動を促した可能性を考えた. VAS値(両顎歯牙欠損部補綴のみ→両顎嚥下補助床)は米飯で咀嚼6.6→2.2, 咽頭への送り込み5.4→2.1と改善が得られ, 常食に耐えうる結果を得た理由として, 前回と比べ歯牙欠損部のない状態での咀嚼機能や補助床作製方法の差が咀嚼・嚥下機能に有利に働いたためと推察した. |
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ISSN: | 0034-351X |