痴呆症患者における平圧高酸素暴露の事象関連電位と背景脳波に及ぼす影響
平圧高酸素の連続的暴露が, 痴呆症患者の脳機能に及ぼす影響について脳波学的に検討し, 併せてMMSEと事象関連電位(P300)との関連性を検討する目的で調査研究を行った. 対象は, 本人および家族の了解が得られたK病院入院中の痴呆症患者17名とした. 対象者には, 平圧高酸素リハビリテーション・ルーム(酸素濃度30%)にて週5日, 連続3週間暴露させた. 1回の暴露時間は30分間で, 暴露中は通常の訓練を行った. 初日の酸素暴露開始前, 暴露中, 暴露直後に背景脳波とP300の測定を行い, 3週間の暴露終了後および終了1カ月経過後にも同様の測定を行った. 脳波はFz,Cz,Pzの3部位から単極...
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Zusammenfassung: | 平圧高酸素の連続的暴露が, 痴呆症患者の脳機能に及ぼす影響について脳波学的に検討し, 併せてMMSEと事象関連電位(P300)との関連性を検討する目的で調査研究を行った. 対象は, 本人および家族の了解が得られたK病院入院中の痴呆症患者17名とした. 対象者には, 平圧高酸素リハビリテーション・ルーム(酸素濃度30%)にて週5日, 連続3週間暴露させた. 1回の暴露時間は30分間で, 暴露中は通常の訓練を行った. 初日の酸素暴露開始前, 暴露中, 暴露直後に背景脳波とP300の測定を行い, 3週間の暴露終了後および終了1カ月経過後にも同様の測定を行った. 脳波はFz,Cz,Pzの3部位から単極導出し, P300は1kHzと2kHzの音を弁別するodball課題の遂行により誘発した. 脳波の測定と並行してMMSEによる認知テストを同様の時期に行った. 平圧高酸素暴露前におけるP300頂点潜時は, 中央値で437msecであった. 平圧高酸素暴露後P300頂点潜時は, 短縮する傾向が認められ, 特に暴露中および3週間暴露後の頂点潜時は, 暴露前と比較して統計学的に有意な短縮を認めた(p<0.05). 背景脳波においては, 中心周波数が高周波数帯域にシフトする傾向が認められた. さらにMMSEの得点20点を境界として2群に分類した結果, P300頂点潜時の短縮は得点が21点以上の人において顕著であった. 以上の結果から, 平圧高酸素の連続暴露は, 脳血管性痴呆患者の脳機能を活性化させ, 判断処理過程を高める上で有効である可能性が示唆され, また, この効果は特に痴呆が軽微である時に有効である可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0034-351X |