衝突法により検討した副深腓骨神経による短趾伸筋支配の頻度
腓骨神経伝導検査の記録筋として用いられる短趾伸筋は, 深腓骨神経(DPN)に加えてしばしば副深腓骨神経(ADPN)からも支配される. 106名の一側下肢で, 短趾伸筋がADPNにより支配される頻度を, 衝突法を用いて調査した. DPN末梢部(下腿下部前面)刺激6msec後に腓骨頭部を刺激すると, 腓骨頭部からADPNを経由した順行性インパルスのみが短趾伸筋に達し, 複合近活動電位(CMAP)を誘発する. 逆に, ADPN末梢部(外躁後方)刺激6msec後に腓骨頭部を刺激すると, 腓骨頭部からDPNを経由した順行性インパルスのみが短趾伸筋に達し, CMAPが誘発される. DPNをブロックした腓骨...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 腓骨神経伝導検査の記録筋として用いられる短趾伸筋は, 深腓骨神経(DPN)に加えてしばしば副深腓骨神経(ADPN)からも支配される. 106名の一側下肢で, 短趾伸筋がADPNにより支配される頻度を, 衝突法を用いて調査した. DPN末梢部(下腿下部前面)刺激6msec後に腓骨頭部を刺激すると, 腓骨頭部からADPNを経由した順行性インパルスのみが短趾伸筋に達し, 複合近活動電位(CMAP)を誘発する. 逆に, ADPN末梢部(外躁後方)刺激6msec後に腓骨頭部を刺激すると, 腓骨頭部からDPNを経由した順行性インパルスのみが短趾伸筋に達し, CMAPが誘発される. DPNをブロックした腓骨頭刺激時に, 27名(25%)で短趾伸筋由来の筋活動が得られた. うち25名のADPN波形はDPN波形より小さく, 足関節外側刺激時にも同じ波形が得られたのは20名のみであった. 7名では, 足関節外側刺激が脛骨神経にも波及し, 脛骨神経支配筋からの容積伝導波形がADPN波形に重なった. 13名(12%)では, 腓骨頭と足関節前面刺激時の記録のみからADPNの存在が示唆された. 2名(2%)ではADPNが短趾伸筋の主支配神経となっていた. 足部では, 短趾伸筋の近傍に骨間筋などの脛骨神経支配筋が位置する. さらに, 腓骨神経外躁後方刺激は, しばしば脛骨神経への刺激の波及を生じる. この場合, 脛骨神経支配筋からの容積伝導波形も短趾伸筋上の記録電極から導出されるため, ADPN経由波形が隠されることになる. 腓骨神経伝導検査は, これらの特徴を理解した上で, 正しく評価する必要があろう. |
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ISSN: | 0034-351X |