脊髄血管障害のリハビリテーション

「目的」脊髄血管障害は外傷性脊髄損傷に比べて非常に稀な疾患である. 今回, 当院に入院した脊髄血管障害患者の特徴とそのリハビリテーション効果について外傷性脊髄損傷患者と比較し, 検討した. 「対象と方法」過去6年間に当院にリハ目的で人院した脊髄血管障害患者(以下, 血管障害群)29名と外傷性脊髄損傷患者(以下, 外傷群)105名について, その疫学, 発症から入院までの期間, 在院期間, 脊損のレベルと程度, 合併症, 機能予後について調査した. 「結果」血管障害群のうちわけは大動脈疾患7名, 前脊髄動脈症候群7名, 脊髄血管奇形6名, 脊髄出血3名, 心停止後2名, 不明4名. 平均年齢,...

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Hauptverfasser: 橋本圭司, 猪飼哲夫, 植松海雲, 殷祥沫, 宮野佐年
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「目的」脊髄血管障害は外傷性脊髄損傷に比べて非常に稀な疾患である. 今回, 当院に入院した脊髄血管障害患者の特徴とそのリハビリテーション効果について外傷性脊髄損傷患者と比較し, 検討した. 「対象と方法」過去6年間に当院にリハ目的で人院した脊髄血管障害患者(以下, 血管障害群)29名と外傷性脊髄損傷患者(以下, 外傷群)105名について, その疫学, 発症から入院までの期間, 在院期間, 脊損のレベルと程度, 合併症, 機能予後について調査した. 「結果」血管障害群のうちわけは大動脈疾患7名, 前脊髄動脈症候群7名, 脊髄血管奇形6名, 脊髄出血3名, 心停止後2名, 不明4名. 平均年齢, 発症から入院までの期間, 在院期間では, 両群間に有意差を認めなかった. 血管障害群は下部胸髄から上部腰髄損傷の占める割合が外傷群と比較して有意に(p>0.05)高かった. 基礎疾患として, 高血圧, 糖尿病の罹患率が血管障害群で有意に(p<0.01)高く, 褥瘡の合併率も血管障害群で有意に(p<0.01)高かった. 不全対麻痺患者の入院時FIM運動項目点は血管障害群が外傷群と比較して有意に(p<0.05)高かったが, 当院退院時FIM運動項目点, 自宅退院率, 職業復帰率は完全, 不全対麻痺とも両群間に有意差を認めなかった. 「結論」血管障害群と外傷群で, 当院退院時の機能予後に明らかな差を認めなかった. しかし本研究では, 退院後の機能および再発の可能性などについては検討していない. 脊髄血管障害のリハ的問題点と長期的予後について, 今後さらなる調査が必要である.
ISSN:0034-351X