外科的治療が奏効した嚥下障害の1例

「症例」54歳男性. 「現病歴」平成8年5月右椎骨動脈の解離性動脈瘤によるくも膜下出血を発症, 緊急手術が施行された. 解離は後下小脳動脈まで, および術後小脳梗塞を併発した. 失調は軽度であったが, 重度嚥下障害のため経口摂取不能であり, リハビリテーション(以下, リハ)目的で平成8年12月藤田保健衛生大学七栗サナトリウムに転院した. VF(videofluorography)では輪状咽頭筋弛緩不全と喉頭挙上不全が認められ, 間欠的経管栄養法やバルーンカテーテルによる食道入口部拡張法が行われたが, 著明な効果を得ず, 外科的治療が検討された. 平成9年12月手術目的にて当院耳鼻科に入院し,...

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Hauptverfasser: 小野木啓子, 小竹伴照, 梶原敏夫, 才藤栄一
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「症例」54歳男性. 「現病歴」平成8年5月右椎骨動脈の解離性動脈瘤によるくも膜下出血を発症, 緊急手術が施行された. 解離は後下小脳動脈まで, および術後小脳梗塞を併発した. 失調は軽度であったが, 重度嚥下障害のため経口摂取不能であり, リハビリテーション(以下, リハ)目的で平成8年12月藤田保健衛生大学七栗サナトリウムに転院した. VF(videofluorography)では輪状咽頭筋弛緩不全と喉頭挙上不全が認められ, 間欠的経管栄養法やバルーンカテーテルによる食道入口部拡張法が行われたが, 著明な効果を得ず, 外科的治療が検討された. 平成9年12月手術目的にて当院耳鼻科に入院し, 当科に紹介された. 「入院後経過」両側輪状咽頭筋切離術および咽頭挙上術が施行され, 術後2週間から間接訓練を開始した. 12月下旬から直接訓練も取り入れたが, 頻回に唾液や痰を喀出する状態が続いた. VFで食道入口部の狭窄が認められ, バルーン法を開始した. その後, 徐々に経口摂取量が増加し, 全粥摂取可能となり退院した. 「考察」嚥下障害の外科的治療は, その適応や施行時期に明確な基準がないが, 本症例は年齢が若く, 知的機能も良好であり, 嚥下訓練が継続して行われていたことから適応ありと判断された. 手術による効果と術後のリハにより摂食可能となったと考えられた.
ISSN:0034-351X