粗大運動能力分類システム(GMFCS)の信頼性の検討

GMFCSは, 粗大運動能力の制限を基準として脳性麻痺の重症度を分類する尺度であり, カナダで考案された. GMFCSが日本で使えるかどうかを確認するため, 日本語版の信頼性を検討すること, および他国の医療尺度を日本に導入する場合にしばしば起こる問題を見つけることを目的にこの研究を行った. 対象は, 1~12歳までのCP児76名で, 7名の医師と, 9名の理学療法士で構成される評価者が, 2名一組で全く独立して評価を行った. その結果全体のKappaは0.64であり, カナダでの検討の結果とほぼ同等だった. 各レベルでのKappaは, レベルIVが0.54, Vが0.58で検者間信頼性が低い...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1999, Vol.36 (12), p.981-982
Hauptverfasser: 近藤和泉, 橋本賀乃子, 相馬正始, 福田道隆, 岩田学, 岩崎光茂, 富田卓, 佐藤衛
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:GMFCSは, 粗大運動能力の制限を基準として脳性麻痺の重症度を分類する尺度であり, カナダで考案された. GMFCSが日本で使えるかどうかを確認するため, 日本語版の信頼性を検討すること, および他国の医療尺度を日本に導入する場合にしばしば起こる問題を見つけることを目的にこの研究を行った. 対象は, 1~12歳までのCP児76名で, 7名の医師と, 9名の理学療法士で構成される評価者が, 2名一組で全く独立して評価を行った. その結果全体のKappaは0.64であり, カナダでの検討の結果とほぼ同等だった. 各レベルでのKappaは, レベルIVが0.54, Vが0.58で検者間信頼性が低い傾向があった. 各レベルごとの純粋な不一致数はレベルIVとVの間で一致しない症例が12名で15.8%ともっとも多かった. 不一致となった症例の検討を行った結果, レベルVの記載が, 強い否定の意を含んだものとなっており, 日本語への翻訳がそれをさらに強めていたため解釈に混乱が起こったためと思われた. 記載を変更すると, さらに信頼性の高い結果が得られると考えられる.
ISSN:0034-351X