成人脳性麻痺の臨床的特徴

「背景と目的」これまで脳性麻痺患者の臨床像は小児の成長過程に沿って捉えられているものが多く, 成人脳性麻痺患者の臨床像についての大規模な臨床統計は少ない. 今回我々は成人脳性麻痺患者の臨床像とADLについて検討した. 「対象と方法」1995~1997年までに北海道立心身障害者総合相談所を受診した349人について受診時の医学的記録ならびに患者へのアンケートによって検討した. このうち年齢が15歳以上で, 記載が明確な256例について臨床的特徴とADLについてretrospective studyを実施した. 臨床的特徴は, 知能指数, 麻痺肢の分布, 麻痺肢の筋力(MMT), 痙性(Ashwor...

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Hauptverfasser: 丸石正治, 眞野行生, 新名直樹, 佐藤史江, 麻生智洋, 小川太郎, 佐々木鐵人
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「背景と目的」これまで脳性麻痺患者の臨床像は小児の成長過程に沿って捉えられているものが多く, 成人脳性麻痺患者の臨床像についての大規模な臨床統計は少ない. 今回我々は成人脳性麻痺患者の臨床像とADLについて検討した. 「対象と方法」1995~1997年までに北海道立心身障害者総合相談所を受診した349人について受診時の医学的記録ならびに患者へのアンケートによって検討した. このうち年齢が15歳以上で, 記載が明確な256例について臨床的特徴とADLについてretrospective studyを実施した. 臨床的特徴は, 知能指数, 麻痺肢の分布, 麻痺肢の筋力(MMT), 痙性(Ashworth scale), 変形, 感覚障害, 疼痛, の各因子について評価した. ADLはBarthel indexにて評価した. 「結果」各因子間では痙性と変形に有意な相関が認められた(ρ<0.0001). 成人脳性麻痺の臨床的特徴として, 痙性・変形の障害が強く, 筋力の障害が中等度であることが認められた. ADLは良好な群ときわめて不良な群の2峰性分布を示した. 臨床的特徴のうち, 痙性・変形と, 筋力がそれぞれ有意にADLに影響していた(ρ<0.0001). 「結論」成人脳性麻痺患者では痙縮と筋力低下が独立して予後に影響している.
ISSN:0034-351X