頸髄損傷患者の入院長期化の原因と自宅退院阻害因子についての検討

「目的」頸髄損傷患者の入院長期化の原因と自宅退院阻害因子を明らかにする目的で調査を行った. 「対象と方法」1985~1998年の14年間に当院を退院したFrankel分類Aの頸髄損傷患者43名を対象に, 損傷レベル, 入院期間, 合併症, 退限先, 家族の介護力, 社会環境の状況などを調べた. 「結果とまとめ」男性39例, 女性4例, 年齢は17~75歳, 平均46.6歳で, 損傷レベルはC1が1例, C3が2例, C4が10例, C5が10例, C6が9例, C7が6例, C8が5例であり, 当院での平均入院日数は362.9日, 自宅退院は32例(74.4%)であった. 損傷のレベル, 年齢...

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Hauptverfasser: 松下功, 樋口雅章, 高野治雄, 藤江秀樹, 青山和裕, 谷川孝史, 野村忠雄, 藤木勇治, 影近謙治
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「目的」頸髄損傷患者の入院長期化の原因と自宅退院阻害因子を明らかにする目的で調査を行った. 「対象と方法」1985~1998年の14年間に当院を退院したFrankel分類Aの頸髄損傷患者43名を対象に, 損傷レベル, 入院期間, 合併症, 退限先, 家族の介護力, 社会環境の状況などを調べた. 「結果とまとめ」男性39例, 女性4例, 年齢は17~75歳, 平均46.6歳で, 損傷レベルはC1が1例, C3が2例, C4が10例, C5が10例, C6が9例, C7が6例, C8が5例であり, 当院での平均入院日数は362.9日, 自宅退院は32例(74.4%)であった. 損傷のレベル, 年齢による入院日数に差はなかったが, 褥瘡ならびに起立性低血圧を有した症例の平均入院期間はそれぞれ394.2日, 438.2日と長かった. 入院期間が400日以上の症例は16例おり, そのうち褥瘡, 起立性低血圧を有する症例はそれぞれ10例と12例認めた. また, 種々の理由により退院先が決まらなかった症例が9例おり, 家屋改造の着手の遅れを引き起こす原因になっていた. 一方, 自宅退院の可否に関して損傷レベル, 褥瘡, 起立性低血圧の有無などは関係していなかった. 自宅退院できた症例の在宅介護評価スコアは11.2であり, 自宅退院できなかった症例の5.9より有意に高い値を示していた. とくに介護者に関係したスコアが高かった症例は93.7%が自宅に退院できたことより, 自宅退院阻害因子として家族の介護力の問題が重要であると考えられた.
ISSN:0034-351X