コンピューターを用いた記銘力検査法の検討

我々が開発したコンピューターによる記銘力検査法を用いて脳損傷患者の記銘力障害を検討した. 「対象」脳損傷患者22名(脳出血8名・脳梗塞5名・くも膜下出血4名・その他5名). 対照群として健常成人25名. 「方法」被験者にタッチセンサ付画面に呈示された2~4枚のカードを記憶させる. 新たに呈示された8枚の選択肢の中から正答を選択させる. カードは1桁の数字, 四角形・三角形などの単純な記号, 色の3種類を使用する. 選択肢呈示までの時間を1秒(即時解答)と15秒(遅延解答)の2施行を行った. 「結果と考察」正解率は, カードの系統が数字, 記号, 色の順に低下する傾向がみられた. 即時再生と遅延...

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Hauptverfasser: 二宮宏二, 新舎規由, 石神重信, 田谷勝夫
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:我々が開発したコンピューターによる記銘力検査法を用いて脳損傷患者の記銘力障害を検討した. 「対象」脳損傷患者22名(脳出血8名・脳梗塞5名・くも膜下出血4名・その他5名). 対照群として健常成人25名. 「方法」被験者にタッチセンサ付画面に呈示された2~4枚のカードを記憶させる. 新たに呈示された8枚の選択肢の中から正答を選択させる. カードは1桁の数字, 四角形・三角形などの単純な記号, 色の3種類を使用する. 選択肢呈示までの時間を1秒(即時解答)と15秒(遅延解答)の2施行を行った. 「結果と考察」正解率は, カードの系統が数字, 記号, 色の順に低下する傾向がみられた. 即時再生と遅延再生との間, また年齢との間には有意な相関はみられなかった. 対照群の即時再生における平均-2SD以下を有意な低下としたところ13名, 59.1%でいずれかの系統で有意な低下を認めた. そして他検査との比較により, 構成障害と記銘力障害を合併した症例では, 純粋な記銘力検査法としてはベントン視覚記銘検査より本検査のほうが適当であると思われた. また本検査はHDS-Rの言語性の即時記銘課題と比較的高い相関を示した. その理由として, 課題の遂行に言語を要しないことが本検査の特徴であるが, 記銘の過程では言語能力が関与する可能性が示唆された. 今後は, 臨床上明らかな改善を認めた例や急性期脳卒中例など, 同一患者の経過について検討していきたい.
ISSN:0034-351X