脳室腹腔短絡術後長期臥床を経て再増悪した水頭症が, パンピングで劇的に改善した1例

VPシャント術後, 長期臥床を経て意識障害が増悪し, 水頭症の再増悪が疑われ, これがパンピングで劇的に改善した1例を経験したので報告する. 「症例」55歳男性. 意識障害にて発症, くも膜下出血との診断で緊急入院し, 動脈瘤クリッピング術を施行され, その後VPシャント術を受けた. この時点では, ベッド上での寝返り, 会話が可能だったが, 誤嚥性肺炎を繰り返し, 安静臥床となった. 1998年6月の時点では, 寝返り不能となり, また発語も意味不明で, 会話は不成立, ADLも全介助に後退していた. 当院では在宅指導を目的に転入院とした. 転入院時頭部CTでは, 水頭症を疑わせる明らかな所...

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Hauptverfasser: 岡田真明, 新藤直子, 柳原幸治, 三宅直之
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:VPシャント術後, 長期臥床を経て意識障害が増悪し, 水頭症の再増悪が疑われ, これがパンピングで劇的に改善した1例を経験したので報告する. 「症例」55歳男性. 意識障害にて発症, くも膜下出血との診断で緊急入院し, 動脈瘤クリッピング術を施行され, その後VPシャント術を受けた. この時点では, ベッド上での寝返り, 会話が可能だったが, 誤嚥性肺炎を繰り返し, 安静臥床となった. 1998年6月の時点では, 寝返り不能となり, また発語も意味不明で, 会話は不成立, ADLも全介助に後退していた. 当院では在宅指導を目的に転入院とした. 転入院時頭部CTでは, 水頭症を疑わせる明らかな所見を認めなかった. 機能障害:1)左片麻痺(Gr. 4-4-6), 2)左知覚鈍麻, 3)遷延性意識障害, 能力障害:起居:寝返り起座全介助, 食事:経鼻胃管, 排泄:おむつ, 「入院後経過」I:軽症意識障害, II:尿便失禁, III:前頭葉症状が前医入院時より増悪, の三点から, 「水頭症を呈している可能性あり」と判断した. 右後頭部の皮下にあるデバイスを押したところ, 直ちに意識レベルは改善し, 直後より車椅子駆動が可能となった. 最終的には, 車椅子-ベッド・車椅子-トイレ間の移動は独力にて可能となり, 環境調整後, 退院した. 「考察」パンピングにて改善した機序については, パンピングの特性から考え, チューブ閉塞していたのが, 髄液のpushにより除去され, 流れが改善したものと考えた. 原因として, 長期臥床に伴い, 髄液の流量が低下し, 脳室内に髄液がうっ滞したものと推測した. 「結語」シャントシステムを使用している患者に対し, リハビリテーションの場面では, 特に頻回の症状チェックと頭部CT施行による脳室, 脳溝の確認が必要と考えられた.
ISSN:0034-351X