軽度運動負荷の耐糖能に及ぼす影響

糖尿病の運動療法として運動の強度は中等度以下が推奨されているが, 脳卒中患者では極軽度の運動負荷しかできない場合がある. 機能障害を有する高齢者や脳卒中患者にも行い得る程度の運動負荷が耐糖能にどのような影響を及ぼすかを調べるために, 糖尿病を合併した脳血管障害患者2名の一日血糖およびHbAlcの変化をみた. 症例1:70歳, 女性, 正常圧水頭症. 入院当初は食事療法(1,200kcal), 薬物療法(グリベンクラミド5mg, ボグリボース0.9mg)にインスリンを併用したが, リハビリテーション(以下, リハ)訓練による運動負荷が増えるにつれ, インスリンを漸減し, 血糖値, HbAlcも徐...

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Hauptverfasser: 木原薫, 浅山滉
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:糖尿病の運動療法として運動の強度は中等度以下が推奨されているが, 脳卒中患者では極軽度の運動負荷しかできない場合がある. 機能障害を有する高齢者や脳卒中患者にも行い得る程度の運動負荷が耐糖能にどのような影響を及ぼすかを調べるために, 糖尿病を合併した脳血管障害患者2名の一日血糖およびHbAlcの変化をみた. 症例1:70歳, 女性, 正常圧水頭症. 入院当初は食事療法(1,200kcal), 薬物療法(グリベンクラミド5mg, ボグリボース0.9mg)にインスリンを併用したが, リハビリテーション(以下, リハ)訓練による運動負荷が増えるにつれ, インスリンを漸減し, 血糖値, HbAlcも徐々に改善した(血糖値:150~300→90~170mg/dl,HbAlc:6.2→5.0%). 症例2:80歳, 男性, 脳梗塞. 食事療法(1,440kca1), 薬物療法(グリベンクラミド1.25mg, ボグリボース0.9mg)に運動療法を併用して血糖値, HbAlcが改善した(血糖値:160~280→120~210mg/dl,HbAlc:7.3→5.9%). これらの症例に他にも, 糖尿病合併脳卒中患者や高齢者で継続的にリハ訓練を行うことにより, HbAlcが徐々に低下する症例が多かった. 脳卒中後片麻痺患者のリハ訓練における運動負荷量は糖尿病患者に推奨されている負荷量よりもさらに軽度で, 健常者にとっては非常に楽な運動負荷量であるが, 重度障害を有する高齢者や脳卒中患者にとって, 耐糖能の改善からみれば, 通常のリハ訓練は有用な運動負荷と思われる.
ISSN:0034-351X