膝関節のproprioception(固有感覚)に対する筋疲労の影響について
「目的」本研究の目的は, 膝固有感覚の定量法として膝関節位置覚測定(RAI)を用い, 膝固有感覚に対する筋疲労の影響について検討することである. 「方法」実験1:対象は健常男性27名. 膝局所負荷(等速性運動機器による連続60回の膝屈伸運動), および全身負荷(トレッドミル上で5分間のランニング)の前後で利き足側のRAIを測定した. 実験2:対象は健常男性10名. 上肢用エルゴメーターによる負荷の前後で利き足側のRAIを測定した. 実験3:対象は健常男性6名. 徹夜後, さらに計算問題を5分間解かせた前後で利き足側のRAIを測定した. 「結果」実験1:膝固有感覚は, 膝局所負荷後には有意な変化...
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Veröffentlicht in: | リハビリテーション医学 1998, Vol.35 (12), p.1026-1027 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「目的」本研究の目的は, 膝固有感覚の定量法として膝関節位置覚測定(RAI)を用い, 膝固有感覚に対する筋疲労の影響について検討することである. 「方法」実験1:対象は健常男性27名. 膝局所負荷(等速性運動機器による連続60回の膝屈伸運動), および全身負荷(トレッドミル上で5分間のランニング)の前後で利き足側のRAIを測定した. 実験2:対象は健常男性10名. 上肢用エルゴメーターによる負荷の前後で利き足側のRAIを測定した. 実験3:対象は健常男性6名. 徹夜後, さらに計算問題を5分間解かせた前後で利き足側のRAIを測定した. 「結果」実験1:膝固有感覚は, 膝局所負荷後には有意な変化が認めなかったが, 全身負荷後には有意に低下した. 膝局所負荷による末梢性疲労は筋内受容器からの入力低下を生じさせなかったか, 生じたとしても中枢や筋内受容器以外のメカノレセプターの機能によって代償されたと考えられた. 一方, 全身運動負荷後にのみ膝固有感覚が有意に低下したことから, 膝固有感覚の低下は, 運動制御を支配する中枢性因子の機能低下, つまり中枢性疲労によるものと推察された. 実験2および3:上肢負荷後, 徹夜後およびさらに計算問題を行わせた後では, 膝固有感覚の有意な変化を認めなかった. 実験2および3では, 膝関節周囲筋の末梢性疲労を伴わない中枢性疲労を惹起させようと試みたが, これらの負荷により実際に中枢性疲労が生じていたのかは証明していないので, 今後さらに中枢性疲労の誘発手技についての検討が必要である. 固有感覚の低下は膝外傷のrisk factorの一つであると考えられるので, スポーツ活動におけるインターバルは, 中枢性疲労による固有感覚低下を防止するのに有用であることが示唆された. |
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ISSN: | 0034-351X |