術中言語評価を行った脳腫瘍による失語症患者の1例
脳腫瘍, とくに悪性腫瘍は, 手術摘出が必須であるが, 機能局在部位に位置する腫瘍の場合, 機能予後を考慮せざるをえない. 患者のQOLを考えつつ生存期間を延長させるには, 機能領域を正確に同定する必要がある. 近年麻酔技術の進歩により, 覚醒手術が可能になり, 運動野, 感覚野に関して, 術中刺激によるマッピングにより腫瘍摘出した報告が散見される. 今回我々は, 典型的伝導失語症を呈したAstrocytomaの症例に対して, 機能温存目的で覚醒開頭術を行った. 症例は67歳男性. 伝導失語を呈する以外に, 高次脳機能障害, 運動麻痺, 感覚障害等はない. CT,MRIで, 後側頭葉にCyst...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 脳腫瘍, とくに悪性腫瘍は, 手術摘出が必須であるが, 機能局在部位に位置する腫瘍の場合, 機能予後を考慮せざるをえない. 患者のQOLを考えつつ生存期間を延長させるには, 機能領域を正確に同定する必要がある. 近年麻酔技術の進歩により, 覚醒手術が可能になり, 運動野, 感覚野に関して, 術中刺激によるマッピングにより腫瘍摘出した報告が散見される. 今回我々は, 典型的伝導失語症を呈したAstrocytomaの症例に対して, 機能温存目的で覚醒開頭術を行った. 症例は67歳男性. 伝導失語を呈する以外に, 高次脳機能障害, 運動麻痺, 感覚障害等はない. CT,MRIで, 後側頭葉にCystを持つ腫瘍がみつかる. 本人の同意のもと, propofol使用による覚醒開頭術を2度行った. 開頭後一時propofolを中断して, 立ち会ったリハビリテーション科医師, 言語療法士により簡単なSLTA, 復唱, 書字を行いつつ上側頭溝よりCyst内容の吸引をし, その後腫瘍摘出を行った. 結果としては, 術後には言語機能はやや改善したが, 機能優先にしたため残存腫瘍が大きくなり, 再手術となった. 最終言語機能は, 術前に比すと聴覚把持力の低下, 喚語困難, 混乱等をみた. 言語野の場合, 運動野の如きMappingは不可能であるが, 言語能の大きな低下や他の高次脳障害出現を防止しつつ, 最大限に腫瘍摘出するためにも, 今後術中言語評価方法等を検討しつつ, 症例を重ねたい. |
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ISSN: | 0034-351X |