骨盤高位手術後腕神経叢麻痺の予防とリハビリテーション
腹腔鏡視下卵巣腫瘍核出術直後に生じた腕神経叢麻痺2例にリハビリテーションを行った. 症例1は比較的すみやかに筋力の回復をみたが, 症例2は日常生活に支障のない程度の回復に3か月を要した. 症例2の頸髄MRI所見では特に異常なく, 発症2か月後の筋電図所見で安静時の脱神経電位を認めた. 上腕二頭筋の徒手筋力テストで症例1は発症直後3,2か月後に5, 症例2は発症直後1,3か月後に4であった. パークスは骨盤高位における体位の保持は肩固定器を首寄りでなく肩峰に当てることにより神経のけん引の予防がなし得るとしており, 当院の手術はこの方法に従い行っていた. しかしパークスの体位保持は頭部の重みによる...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 腹腔鏡視下卵巣腫瘍核出術直後に生じた腕神経叢麻痺2例にリハビリテーションを行った. 症例1は比較的すみやかに筋力の回復をみたが, 症例2は日常生活に支障のない程度の回復に3か月を要した. 症例2の頸髄MRI所見では特に異常なく, 発症2か月後の筋電図所見で安静時の脱神経電位を認めた. 上腕二頭筋の徒手筋力テストで症例1は発症直後3,2か月後に5, 症例2は発症直後1,3か月後に4であった. パークスは骨盤高位における体位の保持は肩固定器を首寄りでなく肩峰に当てることにより神経のけん引の予防がなし得るとしており, 当院の手術はこの方法に従い行っていた. しかしパークスの体位保持は頭部の重みによる頸部の過伸展と肩が背側に落ちることへの対策にならず, 術後腕神経叢麻痺の予防になり得ない. 我々は本合併症の発生後ただちに陰圧式固定マット(マジックベッド)を使用し頭頸部・肩甲体を一体化させることにより頸髄神経根のけん引損傷の予防を行った. この方法を開始して以来, 本合併症の発生を認めていない. 婦人科領域における腹腔鏡視下手術はますます増加すると考えられるが, この手術では傾斜角の強い骨盤高位をとるため従来の体位固定法では術後腕神経叢麻痺の危険性がある. その予防に最も有効である我々の考案した頭頸部・肩甲帯一体化固定法を紹介した. |
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ISSN: | 0034-351X |