腰痛, 下肢痛に対する関節運動学的アプローチの有効性

関節運動学的アプローチ(arthro-kinematic approach:AKA)は関節運動学に基づくmanipulationの一種で, 骨運動に伴わない動きである関節の遊びと, 骨運動に伴って起こる関節包内運動を改善する手段である. 臨床的には仙腸関節で最も頻用される. 腰痛あるいは下肢痛を訴えた患者に対して, 仙腸関節のAKAを行い短期間における効果を調査した. 「対象および方法」1997年10月から12月まで外来にて腰痛あるいは下肢痛に対して仙腸関節のAKAを行いその前後でvisual analogue scaleによる評価を行った14人(女性10人, 男性4人), のべ24回を対象と...

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Hauptverfasser: 戸田克広, 宗重博, 麻生智洋, 吉村理, 木村浩彰
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:関節運動学的アプローチ(arthro-kinematic approach:AKA)は関節運動学に基づくmanipulationの一種で, 骨運動に伴わない動きである関節の遊びと, 骨運動に伴って起こる関節包内運動を改善する手段である. 臨床的には仙腸関節で最も頻用される. 腰痛あるいは下肢痛を訴えた患者に対して, 仙腸関節のAKAを行い短期間における効果を調査した. 「対象および方法」1997年10月から12月まで外来にて腰痛あるいは下肢痛に対して仙腸関節のAKAを行いその前後でvisual analogue scaleによる評価を行った14人(女性10人, 男性4人), のべ24回を対象とした. 平均年齢は39歳(16~60歳)であった. 「結果」AKA前は57であったがAKA後は29となった(p<0.01). 「考察」関節という名称が示すごとく, 仙腸関節にはわずかではあるが可動性がある. 仙腸関節のAKAは仙腸関節の僅かな転位を矯正することにより即効的に鎮痛効果を発揮すると推測されている. AKAの長所は, (1)設備, 場所, 時刻によらず実施できること, (2)副作用の少なさ, (3)即効性, (4)腰痛, 下肢痛のかなりの症例に有効であること, (5)経費がかからないこと, (6)石油製品, 電気, 針を使用しないため環境に優しいことなどである. 短所は技術を習得するのに時間が必要なことである. AKAの禁忌は骨折, 細菌感染, 腫瘍等である. 腰椎椎間板ヘルニアなどの神経の圧迫による症状には無効ではあるが禁忌ではない.
ISSN:0034-351X