脳卒中患者と家族のQOLの関連についての研究

「目的」QOLについて我々は, 1984年以来一連の実証的および理論的研究を特に「如何にQOLを向上させるのか」の視点から行ってきた. 今回は患者と家族のQOLの相互関係についての研究の一環として, 脳卒中患者の患者・家族のQOLの相互関係について検討した. 「対象・方法」脳卒中患者夫婦121組, およびその同居家族と非同居の子供・両親のうち直接面接が可能であった者について, QOLを「包括的QOL評価表」(信頼性, 妥当性検討済み)を基づいた詳細な直接面接法によって調査し, その結果を細かく分析した. その結果に基づき, QOL向上にむけたプログラムの緻密化を行いQOLの変化をみた. 「結果...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1998, Vol.35 (11), p.797-797
Hauptverfasser: 大川弥生, 松本憲二, 丸山香, 斎藤浩一, 佐藤あずさ, 佐野良仁, 中村愛, 太田喜久夫, 上田敏
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「目的」QOLについて我々は, 1984年以来一連の実証的および理論的研究を特に「如何にQOLを向上させるのか」の視点から行ってきた. 今回は患者と家族のQOLの相互関係についての研究の一環として, 脳卒中患者の患者・家族のQOLの相互関係について検討した. 「対象・方法」脳卒中患者夫婦121組, およびその同居家族と非同居の子供・両親のうち直接面接が可能であった者について, QOLを「包括的QOL評価表」(信頼性, 妥当性検討済み)を基づいた詳細な直接面接法によって調査し, その結果を細かく分析した. その結果に基づき, QOL向上にむけたプログラムの緻密化を行いQOLの変化をみた. 「結果」これまでの本人・配偶者のQOLに関する研究結果に加えて以下の点が明らかになった. I. 配偶者以外の家族への影響;1)患者の家族の発症によって配偶者に加え, 同居のみでなく非同居の家族も影響を受ける. それには患者本人のみからの直接的影響のみでなく. 患者の発症による他の家族への影響からの間接的影響も少なくなく, 特に客観的因子よりも主観的な因子への影響が大きい. 2)配偶者に生じたthird-party handicapのみではなく, 高齢者では配偶者に生じた“third-party disability(第三者の能力障害)”の影響が大きい. II. 患者本人のQOL低下によって配偶者や家族のQOLが低下し, その低下によって更に本人のQOLに影響するという「QOL低下の悪循環」が形成される. III. 「QOL低下の悪循環」を断ち, また形成させないリハビリテーションプログラム内容について考察を加えた.
ISSN:0034-351X