脳卒中患者の立ち上がり動作によるATの決定と訓練

脳卒中慢性期の患者で, 立ち上がり動作反復により患者のATとその時点での立ち上がりのスピードを決定し, それに基づいた立ち上がり訓練を処方し, その効果を再度ATで測定した. 対象は移乗動作の自立している13例. 運動強度が, 立ち上がり間隔の逆数に比例すると仮定し, 漸増負荷に近似させたプロトコールを用いた. 訓練は, ATに到達した時点の立ち上がり間隔より1秒大きな間隔で, 1日1回, 15分間, これを週4日以上行った. 10%以上の増加のあった患者は8例で, ほとんど変化のみられない症例が5例で, そのうち1例は杖なし自立, 3例は歩行器で自立で, 両下肢の運動機能にほとんど左右差の認...

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1. Verfasser: 柳原幸治
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:脳卒中慢性期の患者で, 立ち上がり動作反復により患者のATとその時点での立ち上がりのスピードを決定し, それに基づいた立ち上がり訓練を処方し, その効果を再度ATで測定した. 対象は移乗動作の自立している13例. 運動強度が, 立ち上がり間隔の逆数に比例すると仮定し, 漸増負荷に近似させたプロトコールを用いた. 訓練は, ATに到達した時点の立ち上がり間隔より1秒大きな間隔で, 1日1回, 15分間, これを週4日以上行った. 10%以上の増加のあった患者は8例で, ほとんど変化のみられない症例が5例で, そのうち1例は杖なし自立, 3例は歩行器で自立で, 両下肢の運動機能にほとんど左右差の認められない症例であった. ATが増加した症例では, トレンドでは, 酸素消費量は訓練前に比較し訓練後はむしろ増加して上方に変位し, V-slopeでは開始からATポイントまでの, 傾きの小さな直線が延長し, ATは右上方に変位した. 健常者で立ち上がり動作でATを測定すると, 両足では負荷が不十分で, 片足では酸素消費量は大きく, ATポイントも増加していた. しかし, V-slopeでみると, ATポイントは中点からは大きくずれる. 他の運動負荷で得たATと比較すると, 立ち上がり動作によるATは, トレッドミルやエルゴメーターのATとは大きく離れたポイントにあり, 全身持久力の指標とするのは不適当である可能性があった.
ISSN:0034-351X