Wernicke領域の広範な病変にもかかわらず単語処理の良好な回復を得た1例
「症例」68歳, 女性, 右手利き, 尋常小学校卒. 「現病歴」1996年12月4日言葉がおかしいことを主訴に某病院を受診, 頭部CTにて脳梗塞を診断され入院. 保存的加療後言語療法目的にて12月26日当院に転院した. 「神経学的所見」特記すべきものなし. 「神経心理学的所見」当院入院時, 病棟生活では問題ないものの強い喚語困難, 錯語を伴った空虚な内容の自発話を認めた. また物品呼称や簡単な口頭指示の理解の低下も認めたが, 単語の復唱は保たれていた. 発症後1カ月頃より呼称能力に改善を認めだし, 発症1カ月半後の100単語呼称検査では95%を正答した. 口頭指示の理解は若干の改善を認めたが,...
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Veröffentlicht in: | リハビリテーション医学 1998, Vol.35 (2), p.119-119 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「症例」68歳, 女性, 右手利き, 尋常小学校卒. 「現病歴」1996年12月4日言葉がおかしいことを主訴に某病院を受診, 頭部CTにて脳梗塞を診断され入院. 保存的加療後言語療法目的にて12月26日当院に転院した. 「神経学的所見」特記すべきものなし. 「神経心理学的所見」当院入院時, 病棟生活では問題ないものの強い喚語困難, 錯語を伴った空虚な内容の自発話を認めた. また物品呼称や簡単な口頭指示の理解の低下も認めたが, 単語の復唱は保たれていた. 発症後1カ月頃より呼称能力に改善を認めだし, 発症1カ月半後の100単語呼称検査では95%を正答した. 口頭指示の理解は若干の改善を認めたが, 4文節以上は困難で単語処理能力程ではなかった. 発症約4カ月後の退院前に施行した聴覚性言語学習テストはほぼ正常の成績を, また両耳分離聴検査は左耳優位の結果を示した. 退院後は保健婦の訪問を受けながら一人で生活しているが大きな問題は認めない. 「画像所見」MRIで左上側頭回・中側頭回後方部, 角回の一部, 下後頭葉の一部を含む皮質, 皮質下に脳梗塞像を認め, 脳血流検査では同部の血流低下を認めた. 「まとめ」Wernicke領域の広範な病巣にもかかわらず, 単語処理能力に著明な改善をみたことは, 単語処理における右半球の関わりが否定できないのではないかと考えた. |
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ISSN: | 0034-351X |