知的機能障害の局所脳血流動態

「目的」知的機能障害の重症度とXe-CTを用いた局所脳血流量(以下rCBFと略)との関連について検討を加えた. 「対象と方法」検討した対象は慢性期の脳梗塞3例, 脳塞栓2例, 多発性脳梗塞1例, 被殻出血6例, 視床出血1例, 前大脳動脈瘤術後1例, 頭部外傷2例の合計16例であった. 局所脳血流量(rCBF)測定はXe-CT(AZ-725)を用い, 主として松果体レベルの水平断面像のスライスのCT値の変化を, Xeの吸入と飽和および洗い流しによりrCBF値を算出した. 知的障害の重症度はコース立方体テストによりIQ値を求めて, その主な指標とし, さらに重症例では一部大脇式を用い, 経時的に...

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Hauptverfasser: 及川忠人, 高橋暁, 伊藤伊一郎, 中谷敬明, 藤原瀬津雄, 高橋桂一
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「目的」知的機能障害の重症度とXe-CTを用いた局所脳血流量(以下rCBFと略)との関連について検討を加えた. 「対象と方法」検討した対象は慢性期の脳梗塞3例, 脳塞栓2例, 多発性脳梗塞1例, 被殻出血6例, 視床出血1例, 前大脳動脈瘤術後1例, 頭部外傷2例の合計16例であった. 局所脳血流量(rCBF)測定はXe-CT(AZ-725)を用い, 主として松果体レベルの水平断面像のスライスのCT値の変化を, Xeの吸入と飽和および洗い流しによりrCBF値を算出した. 知的障害の重症度はコース立方体テストによりIQ値を求めて, その主な指標とし, さらに重症例では一部大脇式を用い, 経時的にWAIS-Rを用いて神経心理学的検討を行った. 「結果」(1)IQ値が正常の91~111(平均98)の症例:第I群(N=4)ではCTの病巣範囲は小さく, rCBFの低下領域は限局していた. 経時的にWAIS-Rにて経善を認めた2症例のrCBFは全般的にも局所的にも著名な増加を認めた. (2)IQ値が51~65(平均60.2)の軽度の知的障害を示した症例:第II群(N=5)では大脳基底核のrCBFの左右差が顕著でしかもその低下は比較的限局していた. (3)一方IQ値が38~47(平均43.3)と中等度の知的障害を示した症例:第III群(N=4)では病巣側のrCBF低下が病巣側大脳半球の約30~50%の広範囲に認めた. (4)次に大脇式検査にて重度の知的障害を示した症例:第IV群(N=3)では, rCBFの低下が患側半球および健常側にも認めた. 「結語」知的障害の重症度とXe-CTによるrCBF所見との関連性が示唆された.
ISSN:0034-351X