頸髄損傷の急性期合併症としての尿崩症
【緒論】外傷性頸髄損傷(以下, 頸損)後の稀な合併症に多尿症があるが報告は少なく, その臨床経過より発生機序について考察を加えた. 最近16年間に経験した頸損症例110例中3,000 ml/日以上の多尿を1週間以上持続した症例は3例であった. 【症例1】C4脱臼骨折によるC4不全四肢麻痺. 術後2週間目より4,000 ml/日以上の多尿を認めたが, 輸液管理のみで軽快した. 【症例2】C4完全四肢麻痺. 受傷後1週目より低比重尿と多尿を認めた. vasopressin試験で尿崩症が疑われ, Desmopressinを投与した. 全身状態改善後, 前方固定術施行し, 徐々にDesmopressi...
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Zusammenfassung: | 【緒論】外傷性頸髄損傷(以下, 頸損)後の稀な合併症に多尿症があるが報告は少なく, その臨床経過より発生機序について考察を加えた. 最近16年間に経験した頸損症例110例中3,000 ml/日以上の多尿を1週間以上持続した症例は3例であった. 【症例1】C4脱臼骨折によるC4不全四肢麻痺. 術後2週間目より4,000 ml/日以上の多尿を認めたが, 輸液管理のみで軽快した. 【症例2】C4完全四肢麻痺. 受傷後1週目より低比重尿と多尿を認めた. vasopressin試験で尿崩症が疑われ, Desmopressinを投与した. 全身状態改善後, 前方固定術施行し, 徐々にDesmopressinを離脱した. 【症例3】陳旧性C4完全四肢麻痺. 肺炎による呼吸不全で入院後, 第5病日より多尿発生. Desmopressinを投与するも奏功せず, 水溶性vasopressinへの変更にて尿量は漸減した. 【考察】本症の発生機序として, 急性肺鬱血が容量受容体である傍肺胞毛細血管(J)受容体を刺激し, 迷走神経を介して視床下部にADH分泌抑制を促した可能性が推測された. 本症は稀であるが, 頸損患者に多尿が出現した場合, 考慮すべき合併症である. |
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ISSN: | 0034-351X |