晩発性痙攣発作によって起こったと思われる健側下肢大腿骨頸部骨折の2症例

脳卒中で当科受診以降の, 肋骨・脊椎以外の骨折について調査し, 片麻痺で健側に大腿骨頸部骨折を起こした2症例の原因が痙攣発作であると思われたので, その症例報告も兼ねて結果を発表した. 脳血管障害者1,033名のうち, 肋骨・脊椎以外の骨折を生じたものは, 37名39骨折で, 大腿骨骨折29件, 上腕骨骨折3件, 前腕の骨折3件, 坐骨骨折2件, 鎖骨骨折1件, 手指の骨折1件である. 骨折部位と移動能力には目立った関係はみられないが, 大腿骨骨折は歩行可能者だけではなく, 車椅子移乗介助レベルの患者でも起こっている. 高齢者では, 移動能力が高くても, 骨折の可能性が高かった. 片麻痺のうち...

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Hauptverfasser: 柳原幸治, 上田修三, 新藤直子
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:脳卒中で当科受診以降の, 肋骨・脊椎以外の骨折について調査し, 片麻痺で健側に大腿骨頸部骨折を起こした2症例の原因が痙攣発作であると思われたので, その症例報告も兼ねて結果を発表した. 脳血管障害者1,033名のうち, 肋骨・脊椎以外の骨折を生じたものは, 37名39骨折で, 大腿骨骨折29件, 上腕骨骨折3件, 前腕の骨折3件, 坐骨骨折2件, 鎖骨骨折1件, 手指の骨折1件である. 骨折部位と移動能力には目立った関係はみられないが, 大腿骨骨折は歩行可能者だけではなく, 車椅子移乗介助レベルの患者でも起こっている. 高齢者では, 移動能力が高くても, 骨折の可能性が高かった. 片麻痺のうち, 麻痺側でない下肢を骨折したものが, 大腿骨頸部骨折で3名, 坐骨骨折で1名で, 頸部骨折の2例は, 転倒をともなわない痙攣発作が原因で非麻痺側を骨折したものと考えられた. 骨折の原因は歩行時の転倒, 移乗動作に関係するもので, 骨折の原因の87%を占める. 痙攣による大腿骨頸部骨折の2症例の共通点は, (1)比較的若年の脳出血で, 麻痺は重度で痙性が非常に強い, (2)投薬はされていないか, あるいは中断後で, 発作は発症当初から全身痙攣の形をとり, 脳波には明らかな発作波はみられない, (3)CKが当日より数日かけてかなり上昇している, などである. 若年者で健側筋力が比較的強いこと, 痙攣が全身強直性で, その際の強い筋収縮が健側大腿骨骨折を引き起こしたものと思われた.
ISSN:0034-351X