大腿骨頸部骨折患者の歩行機能の予後

【目的】大腿骨頸部骨折は高齢者によくみられる骨折で, しばしば歩行能力の低下をきたし, 活動量の低下から痴呆が進んだり, また寝たきりの状態を招来することも多い. そこで今回は大腿骨頸部骨折患者の予後を調査することにより, 特に歩行能力に影響を与える要因について検討を加えた. 【方法】対象は1987年~1993年3月に観血的治療を行った213例のうち, 追跡調査可能であった165例である. なお調査時の術後経過時間は1~7年, 平均3.8年で, 年齢は45~98歳, 平均79歳. 術式は人工骨頭38例, 内固定89例であった. 手術は入院後できるだけ早期に行い, 術後は1週以内に離床させること...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Hauptverfasser: 森田定雄, 古屋光太郎, 奥村信二
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】大腿骨頸部骨折は高齢者によくみられる骨折で, しばしば歩行能力の低下をきたし, 活動量の低下から痴呆が進んだり, また寝たきりの状態を招来することも多い. そこで今回は大腿骨頸部骨折患者の予後を調査することにより, 特に歩行能力に影響を与える要因について検討を加えた. 【方法】対象は1987年~1993年3月に観血的治療を行った213例のうち, 追跡調査可能であった165例である. なお調査時の術後経過時間は1~7年, 平均3.8年で, 年齢は45~98歳, 平均79歳. 術式は人工骨頭38例, 内固定89例であった. 手術は入院後できるだけ早期に行い, 術後は1週以内に離床させることを原則とした. 【結果】歩行機能は術前と比較し, 約半数の患者で最良時でも低下がみられた. 受傷前, 屋内杖歩行自立以上であったが, 術後介助歩行レベル以下となったものは151例中38例で, 骨折型, 術式の相違による差はなかった. 退院時に歩行機能が杖歩行以上になり, 自立していないと, 退院後機能の低下するものが比較的多くみられた. 最終的に寝たきり状態となったものは33名であった. 歩行機能悪化の要因としては何らかの原因による手術の遅れ, 術後の人工骨頭の脱臼, あるいは感染による安静期間の延長, 脳血管障害, 痴呆の合併の関与が考えられた.
ISSN:0034-351X