広汎な左半球病変を認めながら, 失語を呈さなかった右利きの脳血管障害の2症例の神経心理学に関する考察
広汎な左半球障害を認めながら, 失語を呈さなかった右利きの脳血管障害の2症例について報告する. 症例1は右利き60歳男性. 心臓弁膜置換術後に脳塞栓により右片麻痺発症. 頭部CTにて左中大脳動脈領域に広範な低吸収域を認めたが, 回復過程では失語を認めなかった. 軽度の右半側空間無視がみられ, 書字では書取, 模写に比べて自発書字に著明な障害がみられる失書を認めた. 症例2は右利き55歳男性. 脳出血により右片麻痺発症. 頭部CT,MRIにて左大脳半球に広範な出血病変を認めたが回復過程では失語は認めず. 検査した範囲での高次脳機能障害は認められなかった. 報告した2症例において仮に右半球に病変が...
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Veröffentlicht in: | リハビリテーション医学 1994, Vol.31 (11), p.836-836 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 広汎な左半球障害を認めながら, 失語を呈さなかった右利きの脳血管障害の2症例について報告する. 症例1は右利き60歳男性. 心臓弁膜置換術後に脳塞栓により右片麻痺発症. 頭部CTにて左中大脳動脈領域に広範な低吸収域を認めたが, 回復過程では失語を認めなかった. 軽度の右半側空間無視がみられ, 書字では書取, 模写に比べて自発書字に著明な障害がみられる失書を認めた. 症例2は右利き55歳男性. 脳出血により右片麻痺発症. 頭部CT,MRIにて左大脳半球に広範な出血病変を認めたが回復過程では失語は認めず. 検査した範囲での高次脳機能障害は認められなかった. 報告した2症例において仮に右半球に病変が生じた場合, 交叉性失語を呈した可能性も否定できない. 交叉性失語患者の高次脳機能の局在性について, Kapur,Assalらは一側の大脳半球に言語野を含むすべての機能を有する型, 左右の大脳半球の局在性が置換されている型, 両側に言語野がまたがっている型の存在を示唆しているが, 症例1は両側型, 症例2は一側型の局在性を有していたと考えられる. 脳の機能局在とその可塑性はリハビリテーションでは大切であり, 今後このような症例における高次脳機能についてさらに症例を増やし検討し報告していきたい. |
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ISSN: | 0034-351X |