後十字靱帯損傷の治療における後療法の重要性

PCL損傷の治療は近年膝関節外科において最も注目されている問題の一つであり, PCL損傷の治療として保存的治療または手術的治療のいずれを選択したとしても, その後療法の重要性はいうまでもない. 今回は第3度PCL単独損傷の4症例に対して行ったギプス包帯による保存的治療法, その後療法について報告する. すべて受傷後72時間以内にギプス包帯固定を行った. 徒手検査やストレスX線により10 mm以上の後方不安定性があること, 他の靱帯損傷を合併していないことを確認した. ギプス包帯の固定期間は6~8週間であった. ギプス包帯を巻く時の要点は, 膝関節の肢位を20°~30°として巻くこと, ギプス包...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1994, Vol.31 (11), p.809-809
Hauptverfasser: 八知二, 鳥巣岳彦, 酒井祐一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:PCL損傷の治療は近年膝関節外科において最も注目されている問題の一つであり, PCL損傷の治療として保存的治療または手術的治療のいずれを選択したとしても, その後療法の重要性はいうまでもない. 今回は第3度PCL単独損傷の4症例に対して行ったギプス包帯による保存的治療法, その後療法について報告する. すべて受傷後72時間以内にギプス包帯固定を行った. 徒手検査やストレスX線により10 mm以上の後方不安定性があること, 他の靱帯損傷を合併していないことを確認した. ギプス包帯の固定期間は6~8週間であった. ギプス包帯を巻く時の要点は, 膝関節の肢位を20°~30°として巻くこと, ギプス包帯のあと必ずX線撮影を行いギプス包帯と皮膚との間隙の有無を確認すること, 整復が不十分な時は関節裂隙のレベルでギプス包帯を輪切りにし整復位で補強することなどである. PCL単独損傷に対するギプス包帯固定により, 安定した膝関節機能の獲得は可能であった. 靱帯の弾力性の成熟までのおよそ12カ月間は, 獲得した膝安定性を維持し膝機能を回復させるための後療法は注意深く行わなければならない. 生体力学の研究成果を後療法に応用し, 正しく機能回復訓練を指導することや, 日常生活において膝最大屈曲を必要とする正座や和式トイレを禁止するといったきめ細かな指導が不可欠である.
ISSN:0034-351X