10年以上経過した人工呼吸器依存型高位頸髄損傷患者の在宅リハにおける問題点について

呼吸麻痺を伴う高位頸髄損傷患者が受傷後12年間人工呼吸器を使用しながらも家庭復帰した症例を経験したが, 同時に長期に生存するための問題点も明らかになったのでここに報告する. 【症例】59歳, 男性, 第3頸髄損傷. 1982年2月14日受傷後, 人工呼吸器に依存している. 【経過】移動, 外出, 外泊訓練を行い, 呼吸および全身状態が落ち着いた受傷後21カ月後に退院した. 妻が中心となり入院中に人工呼吸器の操作や介護の基本をマスターした. 【考察】感染症対策:通院時の定期的必要物品交換, 家庭での清潔な環境作りを行っている. 全身の浮腫:人工呼吸器による加圧のため胸腔内圧の上昇, 胸腔内の静脈...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1994, Vol.31 (11), p.781-781
Hauptverfasser: 田中智香, 園田英器, 絹原寛士, 寒野龍弘, 友田邦彦, 川口英治, 坂本公宣, 武内晴明, 赤崎幸二
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:呼吸麻痺を伴う高位頸髄損傷患者が受傷後12年間人工呼吸器を使用しながらも家庭復帰した症例を経験したが, 同時に長期に生存するための問題点も明らかになったのでここに報告する. 【症例】59歳, 男性, 第3頸髄損傷. 1982年2月14日受傷後, 人工呼吸器に依存している. 【経過】移動, 外出, 外泊訓練を行い, 呼吸および全身状態が落ち着いた受傷後21カ月後に退院した. 妻が中心となり入院中に人工呼吸器の操作や介護の基本をマスターした. 【考察】感染症対策:通院時の定期的必要物品交換, 家庭での清潔な環境作りを行っている. 全身の浮腫:人工呼吸器による加圧のため胸腔内圧の上昇, 胸腔内の静脈系の抵抗の亢進のため静脈還流が障害されたと考えている. 対症的な利尿剤の使用と人工呼吸器の設定の変更を行ったが, 今後も観察を続ける必要がある. 加齢に伴う疾病は, 自覚症状に乏しいため発見が遅れる危険性がある. 今後も年1回の検査入院を続けていきたい. 介護者の問題:年中無休24時間体制でケアを行っているが, その負担を軽くする方法に確実なものはなく, 近医との連携, 公的サービスの充実が望まれる. 今後も問題が起きると思われるが, われわれは患者, 家族とともに解決法を考えていきたい.
ISSN:0034-351X