道具使用障害の症候学
ヒトの道具使用能力は二足歩行による両手の解放, 利き手の出現に始まる進化の過程の到達点の一つである. この能力は類人猿で痕跡的なものが観察されるとはいえ, ヒトで初めて完成した高次機能である. 大脳損傷はこの道具使用能力に障害を起こす. その症状は多様であり, 損傷部位も障害の水準もまた多様である. 大脳機構の理解を目指すには, この多様な症状をただ羅列するのではなく, 統一的にみてゆくことが必要である. 本講演では障害を道具使用という高次機能の解放(あるいは脱抑制), 道具使用の混乱, 道具使用における巧緻性の障害の3種の水準に整理し, それぞれの水準における症状の特徴と症状発現のメカニズム...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | リハビリテーション医学 1993/03/18, Vol.30(3), pp.185-189 |
---|---|
1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | ヒトの道具使用能力は二足歩行による両手の解放, 利き手の出現に始まる進化の過程の到達点の一つである. この能力は類人猿で痕跡的なものが観察されるとはいえ, ヒトで初めて完成した高次機能である. 大脳損傷はこの道具使用能力に障害を起こす. その症状は多様であり, 損傷部位も障害の水準もまた多様である. 大脳機構の理解を目指すには, この多様な症状をただ羅列するのではなく, 統一的にみてゆくことが必要である. 本講演では障害を道具使用という高次機能の解放(あるいは脱抑制), 道具使用の混乱, 道具使用における巧緻性の障害の3種の水準に整理し, それぞれの水準における症状の特徴と症状発現のメカニズムを考えてみたい. 道具使用行動の脱抑制 道具使用行動が外在刺激によつて誘発され, 意志で制御できない場合かある. |
---|---|
ISSN: | 0034-351X 1880-778X |
DOI: | 10.2490/jjrm1963.30.185 |