脳血管疾患後の股関節異所性骨化に対する手術経験

脳血管疾患後に巨大な股関節周囲の異所性骨化を形成し, 不良肢位での強直状態を呈したため, ADLの拡大を目指して手術を行った2症例を経験したので報告した. 症例1:44歳, 男性. 1983年5月20日, 脳神経外科医により脳動静脈奇形の摘出術を受けた. 術後, 水頭症を併発して重度意識障害が続き, 右片麻痺を残した. 7月に入って右股関節の疼痛と可動域制限が出現し, 当科を初診したが, この時の右股関節は外転400, 外旋70゜, 屈曲10゜の不良強直肢位を呈しており, X線写真上も同部に異所性骨化を認めた. 1984年3月30日に, 良肢位での矯正骨切り術を行ったが, 骨癒合は得たものの,...

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Hauptverfasser: 冬賀秀一, 林弘道, 守屋修二, 佐藤智久, 平出聡, 加藤文雄, 中山健児, 春山廣記, 佐手達男, 澤本温史
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:脳血管疾患後に巨大な股関節周囲の異所性骨化を形成し, 不良肢位での強直状態を呈したため, ADLの拡大を目指して手術を行った2症例を経験したので報告した. 症例1:44歳, 男性. 1983年5月20日, 脳神経外科医により脳動静脈奇形の摘出術を受けた. 術後, 水頭症を併発して重度意識障害が続き, 右片麻痺を残した. 7月に入って右股関節の疼痛と可動域制限が出現し, 当科を初診したが, この時の右股関節は外転400, 外旋70゜, 屈曲10゜の不良強直肢位を呈しており, X線写真上も同部に異所性骨化を認めた. 1984年3月30日に, 良肢位での矯正骨切り術を行ったが, 骨癒合は得たものの, 高次精神機能障害が強くADLの改善は果たせなかった. 症例2:61歳, 男性. 1989年1月3日に脳梗塞を発症し, 他院にて保存的に加療したが左片麻痺を残した. 2月頃より徐々に左股関節の疼痛と腫脹が増悪し, 座位をとるのも難渋するようになった. 1991年1月17日に当科へ入院したが, この時の股関節は屈曲30゜, 外転10゜, 外旋20゜で強直状態にあり, X線写真やCT scanで同部の異所性骨化を認めた. 1月28日に骨化の切除を行ったが, 骨化は筋層と関節包の間に存在しており, これを切除することにより円滑な可動性を獲得できた. 3月20日の退院時には, 屈曲90゜, 伸展0゜, 外転20゜, 内旋5゜, 外旋30゜まで改善し, 座位が安定するとともに歩行訓練も可能となった. <質疑応答> 上田淳(佐賀医大):異所性骨化が疑われた場合のリハビリテーションはいかがされていますか. 冬賀秀一:異所性骨化が進行している時期には, 患部周囲のリハビリテーションは中止しています. 高柳愼八郎(座長):(1)症例1では矯正骨切り術が施行されているが, 治療法の相違について教えてください. (2)症例2の血中アルカリフォスファターゼ値の変動はいかがでしたか. 加藤文雄(共同演者):手術目的に違いがあり, 第1例は異所性骨化の切除を行わず, 車椅子乗車が可能になるように肢位の矯正を行ったもので, 第2例は骨切除を行い, 術後, ダイドロネルの投与, 早期リハビリテーションにより可動域の回復が得られたものです.
ISSN:0034-351X