入院リハビリテーション施行後, 転院または施設入所した患者の予後の検討

当院で訓練を行った後, 介護や社会的理由で自宅退院できず, 特養入所, または転院(特養空床待ち)した患者計34名について追跡調査を行った. 平均退院後期間は18.5カ月で10名が死亡, 再発や合併症で重症となっている者は3名で, 病歴上大きな変化なく現在も入院継続している者は12名, 特養在所している者は8名であった. 移動能力の変化を調べると, 車椅子移乗が介助であった群で低下が認められ, 起座が自立から介助に低下していた3名はいずれも病院在院群だった. 病院では機能訓練室が9施設中8施設にあり, 機能訓練を毎日受けている者が5名いる反面, まったく受けていない者が6名おり, 特養では集団...

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Hauptverfasser: 高見順子, 三宅直之, 柳原幸治, 新藤直子
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:当院で訓練を行った後, 介護や社会的理由で自宅退院できず, 特養入所, または転院(特養空床待ち)した患者計34名について追跡調査を行った. 平均退院後期間は18.5カ月で10名が死亡, 再発や合併症で重症となっている者は3名で, 病歴上大きな変化なく現在も入院継続している者は12名, 特養在所している者は8名であった. 移動能力の変化を調べると, 車椅子移乗が介助であった群で低下が認められ, 起座が自立から介助に低下していた3名はいずれも病院在院群だった. 病院では機能訓練室が9施設中8施設にあり, 機能訓練を毎日受けている者が5名いる反面, まったく受けていない者が6名おり, 特養では集団訓練中心だったが全例に週1回以上の訓練機会があった. 食堂ないし車椅子上で食事していたものは病院では3名, 特養では7名, その他トイレやレクリエーションを合わせた離床機会が毎日ある者は特養では全例, 病院では6名で, 病院では入浴以外離床機会のない者が5名あった. 食堂や車椅子用トイレが病棟にある病院がわずかだった. 以上, 車椅子介助レベルでは機能訓練や日常生活の中でベッドから車椅子に乗り移る機会の多いことが, 起座・移乗等訓練で獲得した動作能力の維持に重要であることが示唆された. 今後適当な施設の増加が望まれるが, 先方の状況に合わせて, 少しでも離床の機会を維持するように患者・家族指導, 転院先スタッフヘの連絡を密に行っていく必要がある. <質疑応答> 越智文雄(防衛医大):(1)転院後すぐの症例と時間があった症例で, 移動能力に差は認められましたか. (2)転院後できるADLは維持されているのに病院の都合でしているADLレベルが落ちていくと考えていいのでしょうか. 高見順子:(1)転院1年以上の症例であり, その群内での入院期間の多少は差がありません. (2)できるADLが同じ→しているADLが一挙に低下→そのうちできたものもできなくなる, の順になります. 今回発表しませんでしたが, 更衣などの低下も著しい. 梶原敏夫(座長):転院直後, 環境不適合のため寝たきりになった症例はありますか. 高見順子:(1)今回の対象患者にはいません. おそらく調査時点までに死亡した例等に含まれると思います. この時期以降の症例で, 不適応のため再転院の経験はあります. (2)離床の機会が大きなポイントと考えます. 転院先の実状の把握が必要です. もちろんADLが下がっても, 雰囲気等, 精神的に満足している例はあります.
ISSN:0034-351X