片麻痺患者の義足装着

脳卒中一下肢切断の重複障害の症例の予後因子について検討した. 下肢切断の原因はすべて血管原性であった. ASO 8症例, TAO 1症例の全9症例(男7人, 女2人)で, 平均年齢68.2±15.2歳である. 大腿切断の6症例は義足装着は不可能であった. しかも切断後3年以内で脳卒中の再発で5例が死亡していた. TAOの30歳男性は実用的な歩行になった. ASO下腿切断の2症例は実用的ではないが, 義足装着で歩行訓練が可能になった. 老年者の義足装着は, 実用的か, あるいは非実用的であるかの二者択一でない. 歩行訓練が地域における社会参加の1つの手段になり, QOLを高める結果となっている....

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1992, Vol.29 (12), p.1076-1077
Hauptverfasser: 栢森良二, 三上真弘, 九里達夫, 丸野紀子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:脳卒中一下肢切断の重複障害の症例の予後因子について検討した. 下肢切断の原因はすべて血管原性であった. ASO 8症例, TAO 1症例の全9症例(男7人, 女2人)で, 平均年齢68.2±15.2歳である. 大腿切断の6症例は義足装着は不可能であった. しかも切断後3年以内で脳卒中の再発で5例が死亡していた. TAOの30歳男性は実用的な歩行になった. ASO下腿切断の2症例は実用的ではないが, 義足装着で歩行訓練が可能になった. 老年者の義足装着は, 実用的か, あるいは非実用的であるかの二者択一でない. 歩行訓練が地域における社会参加の1つの手段になり, QOLを高める結果となっている. 老年者の片麻痺患者の重症度や全身的な合併症の他に, 残存肢の切迫壊死, 難治性断端, さらに股膝屈曲拘縮等の局所状態も大切である. また予後のよい条件としては, (1)麻痺―切断が同側障害であること, (2)下腿切断であること, (3)麻痺側の上肢機能がよいこと等があり, さらに(4)患者を物理的にも心理的にも支援する安定した家庭環境も大切な条件となる. これによって, 実用的にならないまでも, 社会参加の1つの手段としての義足装着訓練が可能になる. <質疑応答> 発言 蜂須賀研二(産業医大):高齢者や重複障害の場合, QOL, physical fitnessの観点から評価した方がよいと思われます.
ISSN:0034-351X