3歳児健診で見過ごされる言語性LDリスク児の臨床的特徴

言語性LDは, 言語性知能の遅れのため学習準備状態が整わず, 学業不振, 多動, 適応障害, 情緒発達障害を示すグループで, 微細脳機能障害, 特発性言語発達遅滞症候群と重複すると考えられている. 幼児期の言語性LD児の臨床的特徴の解明はまだ不十分であり, リスク児の臨床的特徴を報告する. 【対象】対象は言語性LDリスクと診断した年齢が年長児以上の6例. 年齢は5~9歳, 男児5例女児1例である. 受診経路, 主訴, 発達歴, 保育所, 学校での問題行動, 発達テスト, 知能テストの結果, 治療, 予後について検討した. 【結果】受診経路は, 多動, 園での適応障害を指摘され, 保育園からの直...

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1. Verfasser: 家島厚
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:言語性LDは, 言語性知能の遅れのため学習準備状態が整わず, 学業不振, 多動, 適応障害, 情緒発達障害を示すグループで, 微細脳機能障害, 特発性言語発達遅滞症候群と重複すると考えられている. 幼児期の言語性LD児の臨床的特徴の解明はまだ不十分であり, リスク児の臨床的特徴を報告する. 【対象】対象は言語性LDリスクと診断した年齢が年長児以上の6例. 年齢は5~9歳, 男児5例女児1例である. 受診経路, 主訴, 発達歴, 保育所, 学校での問題行動, 発達テスト, 知能テストの結果, 治療, 予後について検討した. 【結果】受診経路は, 多動, 園での適応障害を指摘され, 保育園からの直接間接に紹介されたものである. 3例は3歳児健診で異常なし, 残りの3例も軽度の言語発達遅滞以外は異常の指摘はなく, この時点では療育指導を受けていない. 妊娠分娩歴は全例異常なく, 出生順位, 母親の職業の有無は一定しなかった. 発達歴について, 2例で乳児期に運動発達の遅れがみられた. 言語発達については, 1歳6カ月健診では全例正常, 3歳児健診で半数が異常だった. 保育園, 学校での行動の問題については, 全例で, 言葉の遅れがあり, 聞き取りが悪い, 多動で気が散りやすい, 指示に従えず, 集団行動がとれない, マイペースで感情の共感が下手, 友達と遊べないことが指摘された. 発達テスト, 知能テストの特徴として, 軽度の遅れだが, 社会性対人関係の発達, 言語発達の遅れが全例みられ, 言語性IQの著明な遅れがみられた. 療育指導, 薬物療法, 言語療法が有用だった. 【考案】3歳時点で医療関係者から問題指摘をされず, 保育園で問題指摘されるために, 療育機関への受診が遅れる傾向があり, 今後の対策を要すると考えられた. <質疑応答> 武内一(耳原鳳病院):言語性LD児の観察で, clumsyは側面, たとえば扁平足の持続といった点も彼らの抱える大きな問題と考えるが, その点はどうであったか. 木佐俊郎(島根県立中央病院):この「見過ごされる」問題は, 3歳児健診の精度や方法を変えて解決できますでしょうか. それとも, それ以降で「みつけ方」を工夫していく問題でしょうか.
ISSN:0034-351X