重度脳性麻痺患者に対する訓練用椅子システムの応用(2)

【目的】第26回本学会において, 重度脳性麻痺患者に訓練用椅子システム(工房椅子)を処方し, 使用後1年でアンケート調査し報告した. 今回, 工房椅子の長期使用効果と工房椅子処方前後の側弯角の増加について検討した. 【方法】調査対象は座位不能な在宅の重度脳性麻痺患者84例で, 前回調査した40例のうち7例を含んでいる. 年齢は2~41歳(平均10.0歳), 男性50例, 女性34例である. 使用期間は平均25カ月である. 調査方法はアンケート方式による保護者による4段階評価と工房椅子処方前後の脊椎臥位X線評価である. 【結果】アンケートの回収率は88%, 使用回数は平均2.4回/日. 1回使用...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1992, Vol.29 (11), p.943-943
Hauptverfasser: 鴇田文男, 佐々木鉄人, 小林大時, 高橋武, 内山英一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】第26回本学会において, 重度脳性麻痺患者に訓練用椅子システム(工房椅子)を処方し, 使用後1年でアンケート調査し報告した. 今回, 工房椅子の長期使用効果と工房椅子処方前後の側弯角の増加について検討した. 【方法】調査対象は座位不能な在宅の重度脳性麻痺患者84例で, 前回調査した40例のうち7例を含んでいる. 年齢は2~41歳(平均10.0歳), 男性50例, 女性34例である. 使用期間は平均25カ月である. 調査方法はアンケート方式による保護者による4段階評価と工房椅子処方前後の脊椎臥位X線評価である. 【結果】アンケートの回収率は88%, 使用回数は平均2.4回/日. 1回使用時間は平均1.1時間. 1日使用時間は平均2.7時間. 使用場所は家庭が主で, 食事や遊びに使用していた. 着座での改善点は機嫌がよくなる, 体幹が安定する, 手の機能向上があげられた. また, 保護者の負担軽減, 工房椅子使用に満足との回答を過半数以上に認めた. 一方, 側弯角は処方前が平均24.0゜に対し, 処方後が平均29.6゜と増加していた. 工房椅子の1日使用時間を側弯の進行度で比較すると, 5゜未満の進行の群(n=24)では平均3.2時間/日, 5゜以上の進行の群(n=18)では平均2.0時間/日と統計上明らかに5゜以上の側弯進行の群の工房椅子の使用時間が減少していた. 【考察】工房椅子使用は精神衛生の改善, 手の機能の向上があげられる. しかし, 着座での側弯の過矯正は工房椅子の使用頻度が減少するため, 至適側弯角度での着座が必要と推察した. <質疑応答> 鈴木郁子(毛呂病院, 光の家):側弯のある方は至適側弯角度のパットを使用するとのことですが, あそびはどのくらいとりますか. 鴇田文男:至適側弯角度とは, 工房椅子処方前の脊柱臥位X線での側弯角度を超えない程度の側弯角度と考えております. 川口幸義(長崎県立整肢療育園):(1)座位の時間が平均1.1時間ということでしたが, 少し長すぎるのではないか. (2)椅子の軽量, コンパクト化と成長を配慮して自由度とをもたせるという相反する目的を達成するために, 先生のお考えがありましたら教えていただきたい. 鴇田文男:(1)使用場所が家庭で用途が食事というケースが多く, 食事の介助に時間がかかるため1回の使用時間が平均1.1時間と長くなっているのだと思います. (2)軽量化, コンパクト化と修理頻度を増すという事がらを同時に満たすのはやはり困難だと思います. 軽量化, コンパクト化に関しては, バギータイプの工房椅子で対処するしかないと考えています. 江口壽榮夫(座長):アンケート中, 使用した例の回答で, 痙攣が減少したというのは, 椅子使用によるものなのですか.
ISSN:0034-351X