外傷性頸髄損傷の損傷高位と麻痺高位の検討

【目的】外傷性頸髄損傷の麻痺高位の予後予測や外傷後脊髄空洞症の診断を目的として, MRIにより診断した脊髄の損傷高位と麻痺高位を比較検討した. また, 頸髄損傷の高位分類と上肢筋の髄節支配について考察した. 【対象と方法】Frankel分類でAとBの完全運動麻痺例で受傷後1年以上を経過した73名を対象とした. 麻痺の高位診断はZancolli分類に従って1-A~4-BまでMMTの[4]を基準として分類し, 肘屈筋が[4]未満のものをC4, 手内筋が[4]以上のものをT1とした. 2-Aは橈側手根伸筋が[3]以上[4]未満とし, 左右差のあるものは高位の方とした. C_4 =5名, 1-A=6名...

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Hauptverfasser: 飛松治基, 二瓶隆一, 木村哲彦, 矢野英雄, 陶山哲夫, 飛松好子, 日向野雅典
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】外傷性頸髄損傷の麻痺高位の予後予測や外傷後脊髄空洞症の診断を目的として, MRIにより診断した脊髄の損傷高位と麻痺高位を比較検討した. また, 頸髄損傷の高位分類と上肢筋の髄節支配について考察した. 【対象と方法】Frankel分類でAとBの完全運動麻痺例で受傷後1年以上を経過した73名を対象とした. 麻痺の高位診断はZancolli分類に従って1-A~4-BまでMMTの[4]を基準として分類し, 肘屈筋が[4]未満のものをC4, 手内筋が[4]以上のものをT1とした. 2-Aは橈側手根伸筋が[3]以上[4]未満とし, 左右差のあるものは高位の方とした. C_4 =5名, 1-A=6名, 1-B=2名, 2-A=8名, 2-B-1=17名, 2-B-2=12名, 2-B-3=6名, 3-A=3名, 3-B=2名, 4-A=2名, 4-B=4名, T1=6名であった. 脊髄の損傷高位は, gapなしで撮像したMRI矢状断像のT_1 強調画像で信号の変化がある脊髄病変のもっとも高位とした. 【結果】(1)頸髄損傷の高位分類と上肢筋の髄節支配の関係は, Zancolli分類の1-A~2-AはC_5 , 2-B-1・2-B-2はC_6 , 2-B-3~3-BはC_7 , 4-A・4-BはC_8 と考えるのが妥当と推測された. (2)手内筋はC8髄節からの神経支配を多く受けている場合があって, T_1 髄節の指標としては不適当である場合がかなりあると推測された. (3)脊髄の損傷高位は, もっとも高位でC_4 は神経根の高位から0.5髄節, C_5 は1髄節弱, C_6 ・C_7 ・C_8 は1.5髄節弱, T_1 は2.5髄節弱の上向が認められた. (4)脊髄の損傷高位による麻痺高位の推定は, Zancolli分類では困難であったが, 髄節高位でC_5 ~C_8 の約70%は推定が可能であった. <質疑応答> 大田秀樹(総合せき損センター):たとえばC_3/4 部にMRIで小病変があっても, 手内在筋のatrophyが著明に起こるが, これはC_8 の髄節がC3/4部まで長く存在するのか, long tractの障害なのか教えてください. 土肥信之(藤田保健衛生大):MRIの異常部がnon-functionであるといえますか. 飛松治基:(1)大田先生へ. C_3/4 レベルに中心型の病変があって手内筋に障害がある例では, 髄節の症状ではなく, 脊髄路の症状と考えます. (2)T_1 強調で低信号, T_2 強調で高信号の病変は脊髄の損傷がかなり重症であると考えてよいと思います. (3)脊髄損傷の慢性期におけるMRIの意義については, 1)早期から完全麻痺か不全麻痺か, また麻痺レベルについて予測が可能. 2)麻痺レベルに比して脊髄の病変が上行している例など, 無症状であっても外傷後脊髄空洞症の早期診断が可能である.
ISSN:0034-351X