脳卒中患者における時間認知テストの評価

【目的】脳卒中患者の時間認知能力と知的レベルを比較し, 時間認知検査の独立性を検討した. 【対象および方法】対象は慢性脳卒中患者138例(平均63.1歳, 男82例, 女57例). 言語性知能テストには長谷川式スケールとmini-mental state (MMS)を, 動作性知能テストにはKohs簡易立方体テストを用いた. 時間認知の正常値は, 健常人219名の平均±2 SDとした. 【結果】(1)時間認知の異常は139例中56例(40.3%)にみられたが, 左片麻痺(33例, 58.9%)に多く, 右片麻痺と両側麻痺はそれぞれ19例, 4例であった. (2)脳卒中患者に特有の異常型は時間感...

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Hauptverfasser: 重信恵三, 竹迫賢一, 上土橋浩, 川平和美, 田中信行
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】脳卒中患者の時間認知能力と知的レベルを比較し, 時間認知検査の独立性を検討した. 【対象および方法】対象は慢性脳卒中患者138例(平均63.1歳, 男82例, 女57例). 言語性知能テストには長谷川式スケールとmini-mental state (MMS)を, 動作性知能テストにはKohs簡易立方体テストを用いた. 時間認知の正常値は, 健常人219名の平均±2 SDとした. 【結果】(1)時間認知の異常は139例中56例(40.3%)にみられたが, 左片麻痺(33例, 58.9%)に多く, 右片麻痺と両側麻痺はそれぞれ19例, 4例であった. (2)脳卒中患者に特有の異常型は時間感覚の喪失と1秒の加算障害でそれぞれ26/56 (46.4%), 4/56にみられた. (3)時間認知の正常群対異常群とでは, 長谷川式スケール(28.4 vs 20.9), MMS (25.6 vs 19.6), Kohs簡易テスト(38.6 vs 24.3)で, いずれも異常時に有意の知的レベルの低下がみられた. (4)時間認知の異常例は, 知能テスト正常群にも出現し, 長谷川式スケール正常者の14.5%にみられ, 痴呆群や低得点群にも時間認知の正常例がみられた. 【結語】慢性期脳卒中患者139例の時間認知を検討し, 以下の結果を得た. 1)時間認知の異常は40.6%にみられた. 2)正常群に比べ, 時間認知の異常群では有意の知的レベルの低下がみられた. 3)時間認知検査は知的レベルに影響されるものの, 知能正常―時間認知異常, 知能低下―時間認知正常もあり, 知能テストと異なる新しい性格の検査の可能性がある.
ISSN:0034-351X