高齢者大腿骨頸部骨折におけるリハビリテーション阻害因子
【目的】高齢者の大腿骨頸部骨折では知的能力障害であるいわゆる痴呆がしばしば合併し, リハビリテーションを阻害し, 予後が悪いといわれている. しかし, その診断時期・診断基準について明確に述べている報告は少ない. 今回, いわゆる痴呆の関連症状の「夜間興奮」に着目し, その特徴, 予後について調査し, 発症に影響する要因について検討した. 【対象および結果】対象は70歳以上の大腿骨頸部骨折症例139例である. 夜間興奮を1日以上夜間興奮が持続したこととすると, 発生時期はほとんどが入院直後に発症した. 発生期間は一過性例が21例, 持続例が12例あり, 経過中消失する例が多かった. 夜間興奮の...
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Veröffentlicht in: | リハビリテーション医学 1992, Vol.29 (11), p.873-873 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】高齢者の大腿骨頸部骨折では知的能力障害であるいわゆる痴呆がしばしば合併し, リハビリテーションを阻害し, 予後が悪いといわれている. しかし, その診断時期・診断基準について明確に述べている報告は少ない. 今回, いわゆる痴呆の関連症状の「夜間興奮」に着目し, その特徴, 予後について調査し, 発症に影響する要因について検討した. 【対象および結果】対象は70歳以上の大腿骨頸部骨折症例139例である. 夜間興奮を1日以上夜間興奮が持続したこととすると, 発生時期はほとんどが入院直後に発症した. 発生期間は一過性例が21例, 持続例が12例あり, 経過中消失する例が多かった. 夜間興奮の生命予後は, 夜間興奮持続例に有意に悪く, 歩行能力・社会的予後は夜間興奮例に有意に悪かった. 夜間興奮は, 入院月で9~2月にかけての冷え込む時期が有意に多く, 温度と関連が深いと考えられた. また, 精神障害, 心肺障害, 代謝障害例と関連が深かった. 全身状態と予後との関連については, 心肺障害のある例の生命予後は不良であった. 一方, 歩行予後は, 精神障害例, 心肺障害例, 代謝障害例が有意に悪かった. <質疑応答> 冨田素子(京都博愛会病院):(1)70歳以上の中での70歳代, 80歳代, 90歳代での夜間興奮発症の有意差はなかったでしょうか. (2)夜間発症が起こり鎮静剤投与, 抑制などを行うために肺合併症が起こるという印象をもっているが, 具体的に夜間発症に対しての対策はなにか行っていますか. 北尾進:(1)60歳代, 70歳代, 80歳代, 90歳代別の比較については, 70歳末満と70歳以上との間で差があった. (2)鎮静剤を投与してしまう例はあるが, そのために全身状態が悪化した例はなかった. 夜間興奮を示した場合は意識障害ととらえ, 原因を追求することが重要であると考える. |
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ISSN: | 0034-351X |