老人病院における長期入院患者の生活実態面(第IV報)

【はじめに】 老人病院における患者318名, 一般病院における患者67名に, 趣味調査, 余暇利用, 入院生活で楽しいと, および嫌なこと, 将来の希望, 生き甲斐につきアンケート調査を行い, 老人病院と一般病院における入院生活意識の違いを比較検討した. 【結果】 老人病院において, 移動能力のよい歩行群に趣味もなく, 余暇利用も行わず楽しみもない傾向がみられた. また, 生き甲斐も将来の希望もない者は, 歩行群, 寝たきり群に多い. 一般病院においては, 移動能力がよくなるにつれ, 日々を有効に過ごし, 将来の希望をもって入院生活を送っていた. 【まとめ】 一般病院における入院患者においては...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1991, Vol.28 (12), p.1095-1095
Hauptverfasser: 奥村悦之, 池田速人, 田村功, 早川健司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【はじめに】 老人病院における患者318名, 一般病院における患者67名に, 趣味調査, 余暇利用, 入院生活で楽しいと, および嫌なこと, 将来の希望, 生き甲斐につきアンケート調査を行い, 老人病院と一般病院における入院生活意識の違いを比較検討した. 【結果】 老人病院において, 移動能力のよい歩行群に趣味もなく, 余暇利用も行わず楽しみもない傾向がみられた. また, 生き甲斐も将来の希望もない者は, 歩行群, 寝たきり群に多い. 一般病院においては, 移動能力がよくなるにつれ, 日々を有効に過ごし, 将来の希望をもって入院生活を送っていた. 【まとめ】 一般病院における入院患者においては, 病院はいわゆるmedical careを受けた後, 家庭および社会復帰のための一つの軸として認識されている. これに反し老人病院における入院患者においては, 病院が一つの生活の場として機能しており, 楽しみも乏しく, 余暇利用もうまくできず, 生き甲斐ももたぬという傾向にあり, 日々を荏苒として送っている者が, しかも移動能力のよい群に多い. これらの事実は長期入院生活でpositiveな目標が少なくなり, 諦観を形成している傾向と考えることもできよう. 老人医療全般にわたってきめ細い親切な観点が今後も問われるであろう. <質疑応答> 佐々木健(座長):(1)老人病院と一般病院の区別は. (2)これからの老人病院へのアプローチは. 早川健司:(1)一般病院は, 積極的な治療を施している市民病院的存在を指し, 一方, 老人病院は, 高齢で慢性疾患患者に対し, 主に保存的治療を施している病院を指しました. (2)これからの日本の老人医療への課題でもありますが, 老人に目的意識をしっかりと持たせるために設備, 環境を拡充すべきであると, ともに作業療法, 運動療法をきめ細かく指導していくべきだと思います.
ISSN:0034-351X