大腿部挫減損傷を伴う膝伸展拘縮症例への関節授動術を用いたリハ・アプローチ

【症例】 19歳, 女子高生. 【経過】 昭和63年3月(高校1年), 修学旅行先の中国上海で列車事故に遭遇. 両側大腿部挫減損傷受傷, 同年4月, 上海より東京都内の病院へ転院. 合併症として脳脊髄膜炎が生じ, 意識障害の間に両側の膝伸展拘縮および尖足, また脳脊髄膜炎による視神経萎縮による視覚障害(視力低下:0.05矯正不能, および上方視野欠損)も, 出現した. その後, ADL訓練が開始され, 尖足に対し短下肢装具, 車椅子が作成された. 同年12月頃より輸血が原因の肝機能障害が出現. 平成元年3月, 肝機能障害持続のまま当院内科へ転院, 当科ヘリハ紹介となった. 当科では, 早期の復...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Hauptverfasser: 野並誠二, 石田健司, 森澤豊, 近藤宗昭, 谷俊一, 山本博司, 鶴見隆正
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:【症例】 19歳, 女子高生. 【経過】 昭和63年3月(高校1年), 修学旅行先の中国上海で列車事故に遭遇. 両側大腿部挫減損傷受傷, 同年4月, 上海より東京都内の病院へ転院. 合併症として脳脊髄膜炎が生じ, 意識障害の間に両側の膝伸展拘縮および尖足, また脳脊髄膜炎による視神経萎縮による視覚障害(視力低下:0.05矯正不能, および上方視野欠損)も, 出現した. その後, ADL訓練が開始され, 尖足に対し短下肢装具, 車椅子が作成された. 同年12月頃より輸血が原因の肝機能障害が出現. 平成元年3月, 肝機能障害持続のまま当院内科へ転院, 当科ヘリハ紹介となった. 当科では, 早期の復学を考え, まず尖足に対してのみアキレス腱延長術を施行した. また校舎の一部改造も指導した. この時点で車椅子移動より松葉杖歩行となった. 一時復学するも肝機能悪化のため再度内科へ入院. 1年後, 肝機能の正常化を確認, 両膝関節拘縮に対する手術の準備を開始. 可動域, 右膝0~45゜, 左膝0~30゜, 四頭筋筋力はバネばかりで右18 kg, 左24 kgであった. MR spectroscopyでの検索も行い, 可動域よりも筋力の温存を考慮し, 両膝伸展拘縮に対して平成2年8月(左膝)と12月(右膝)の2回に分け関節浮動術(Judet法)を施行, 術中屈曲130゜を得た. 受傷より3年経過した現在, 杖なし歩行が可能となっている. 【まとめ】 歩行障害だけでなく, 視覚障害も持つ本症例に対する社会的リハ・アプローチを報告した. <質疑応答> MR spectroscopyと病理診に相関はありましたか. 野並誠二:病理診で細胞の大小不同, 線維化を認めたが, 著明な変化ではなく, 相関は認めがたいと考える. 初期に関節鏡による関節包の剥離はしなかったのか. 野並誠二:今回の膝拘縮の原因は, 関節包の癒着が原因ではなく, 筋・腱由来と考えました. 関節造影でも十分な関節の拡がりを認めました.
ISSN:0034-351X