脳卒中片麻痺患者の下肢刺激による体性感覚誘発電位の検討

【目的】 脳卒中患者の上肢刺激による体性感覚誘発電位(SEP)に関する検討は多くなされているが, 下肢の内側毛帯路の状態を反映し, 移動能力とより関係すると考えられる下肢刺激によるSEPの検討は少ない. この研究の目的は, 発症早期から慢性期にかけて片麻痺患者の下肢刺激によるSEPを測定し, その経時的な変化と, 知覚障害, 運動遂行能力, 歩行能力の回復過程を比較し, 下肢刺激によるSEPの所見が, どの程度機能回復状態に反映されるかを検討することである. 【対象・方法】 被殻または視床に比較的限局した病変をもつ脳卒中片麻痺患者16名を対象とし, 可及的早期とその14~150日後に下肢刺激に...

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Hauptverfasser: 近藤和泉, 福田道隆, 岩田学, 森川泰仁, 石山隆, 田沢浩司, 中原慶亮
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】 脳卒中患者の上肢刺激による体性感覚誘発電位(SEP)に関する検討は多くなされているが, 下肢の内側毛帯路の状態を反映し, 移動能力とより関係すると考えられる下肢刺激によるSEPの検討は少ない. この研究の目的は, 発症早期から慢性期にかけて片麻痺患者の下肢刺激によるSEPを測定し, その経時的な変化と, 知覚障害, 運動遂行能力, 歩行能力の回復過程を比較し, 下肢刺激によるSEPの所見が, どの程度機能回復状態に反映されるかを検討することである. 【対象・方法】 被殻または視床に比較的限局した病変をもつ脳卒中片麻痺患者16名を対象とし, 可及的早期とその14~150日後に下肢刺激によるSEPの測定および下肢運動年齢テスト, および第1足趾において2点識別テストを行い, それぞれと退院時点における歩行能力を比較した. 【結果】 (1)経過中にP1以降の成分が同定できた患者は, 全例が2点識別が可能となり, P1成分の有無は片麻痺患者の知覚障害の回復予後の判定材料の一つになると考えられた. (2)2点識別能力に優れているものほどP1成分の振幅が大きく二者の間には一定の関係が認められた. (3)経過中のP1成分が同定できたものは, 退院時点での歩行能力が良好なものが多かったが, 発症早期の時点の評価ですでに歩行可能であるものが多く, 初期の運動遂行能力の差が退院時点の歩行能力の差となった可能性が大きいと考えられた. <質疑応答> 岡島康友(座長):感覚が悪いため歩行能力も低くなると考えてよいですか. 近藤和泉:(1)もちろん麻痺による運動障害がベースです. (2)耳をつないだ測定も行っておりますが, 症例数の関係で今回は発表しませんでした. P1成分の消長に関しては, 変化ないようです.
ISSN:0034-351X