脳卒中リハビリテーション患者における半側空間失認(第三報)経時的体性感覚誘発電位検査による無視症状の客観的評価の可能性について

脳卒中患者のリハビリテーションを遂行する際に重大な阻害因子となる半側空間失認の客観的評価は, 患者の精神状態, つまり痴呆やうつ状態, さらに失語症等様々に異なった条件が存在するに加え, 種々の作業を被検者に課すため, 容易とは言い難い. 半側空間失認症状の遷延化はその病変が視床に及んだ症例に著しいことは報告したが, 今回はその客観的評価の試みとして体性感覚誘発電位(SEP)を用い, 従来のスクリーニングテストの結果と対比し, 失認状態の客観的評価の可能性について検討した. 発症後3カ月以内の307症例に対してスクリーニングテストおよびSEP検査を入院時および3カ月後に行い, 一部の症例では6...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1990, Vol.27 (7), p.707-708
Hauptverfasser: 高橋邦丕, 杉山孝雄, 花島恒雄, 早川富雄, 佐波古和博, 斉藤幾久次郎, 大土井淑郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:脳卒中患者のリハビリテーションを遂行する際に重大な阻害因子となる半側空間失認の客観的評価は, 患者の精神状態, つまり痴呆やうつ状態, さらに失語症等様々に異なった条件が存在するに加え, 種々の作業を被検者に課すため, 容易とは言い難い. 半側空間失認症状の遷延化はその病変が視床に及んだ症例に著しいことは報告したが, 今回はその客観的評価の試みとして体性感覚誘発電位(SEP)を用い, 従来のスクリーニングテストの結果と対比し, 失認状態の客観的評価の可能性について検討した. 発症後3カ月以内の307症例に対してスクリーニングテストおよびSEP検査を入院時および3カ月後に行い, 一部の症例では6カ月後, 1年後の経時的検査を行った. SEPは正中神経を手関節部で電気刺激し, 頭皮上C 3およびC 4から記録した. 刺激は2 Hzの矩形波で, 200回の加算平均を行った. 評価はN 20の潜時および振幅の計測に基づいて行った. SEPは種々異なった反応を示し, 高度の半側空間失認症状を示した症例では反応が不明瞭あるいは欠損を示した. 経時的検査では発症からの期間の短い症例ほど, 波形の明確化, 振幅の増大, 潜時の短縮が認められた. 臨床症状, 経時的なスクリーニングテストにおいて失認症状の改善傾向を示す症例においては, SEPにも改善傾向が認められた. 体性感覚誘発電位の経時的変化, 半側空間失認の臨床症状およびスクリーニングテストの経時的変化の三者の変化の間には, 相関関係が認められた. 質問 東邦大瀬川文徳:統計的な処理もなく, 半側空間失認とSEPの結果を直接に関連づけるのは難しくないか. 答 高橋邦丕:半側空間無視症状およびSEPの両者は, 共に頭頂葉体性感覚野や視床の機能と密接な関連が存在することは周知の事実である. さらにこの両者の経時的変化, つまり臨床症状, 種々の神経心理学的評価検査に基づく無視症状とSEPの波形, 振幅, 潜時等の変化は, 講演で示したごとく密接に関連しており, 統計学的検討においてもその有意性が認められている. 質問 中西亮二(座長):SEPとVSAはどのように関連があると考えるか.
ISSN:0034-351X