近森リハビリテーション病院の継続医療室の活動
高知県は全国第一位の平均在院日数と人口当たりの病床数をもつ極端に入院依存の強い地域である. そのため, 病院から在宅生活への移行は難航しやすい. そこで, 当リハビリテーション科では在院日数の短縮, 質の高い在宅生活の維持, 重度障害者の自宅退院の促進を目的として, 昭和62年4月に継続医療室を発足させ, 平成2年3月までの3年間に当リハビリテーション科全退院患者1,010名中144名を対象として, 延ベ1,189件の訪問を行った. その結果, 継続医療室発足前は1年間で退院患者221名中124名(56.1%)が自宅復帰したにすぎないが, 活動開始後の1年間を見ると393名中266名(67.7...
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Veröffentlicht in: | リハビリテーション医学 1990, Vol.27 (7), p.682-683 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 高知県は全国第一位の平均在院日数と人口当たりの病床数をもつ極端に入院依存の強い地域である. そのため, 病院から在宅生活への移行は難航しやすい. そこで, 当リハビリテーション科では在院日数の短縮, 質の高い在宅生活の維持, 重度障害者の自宅退院の促進を目的として, 昭和62年4月に継続医療室を発足させ, 平成2年3月までの3年間に当リハビリテーション科全退院患者1,010名中144名を対象として, 延ベ1,189件の訪問を行った. その結果, 継続医療室発足前は1年間で退院患者221名中124名(56.1%)が自宅復帰したにすぎないが, 活動開始後の1年間を見ると393名中266名(67.7%)が自宅復帰している. また, 在院日数も148.3日から106.4日へと短縮している. 継続医療室の利点として, 1)重度障害者の自宅復帰が可能, 2)在院日数の短縮, 3)在宅生活維持の支援が可能, 4)在宅生活の質の向上, 5)退院後管理が可能, 6)日常業務へのフィードバックが可能, などが考えられる. また, 問題点としては, 1)スタッフが全員兼務であり労働強化になる, 2)採算問題, 3)遠隔地訪問は困難, 4)地域の保健・福祉従事者との連携が困難, 5)重症例での末期対策が未確立, などが考えられる. 今後, 専任スタッフの導入, 兼務スタッフの交替等を予定しているが, 地域との連携を深め, 地域に広がる活動になるよう努力していかねばならないと考えている. 質問 中伊豆リハセンター窪田俊夫:組織的な継続医療を展開されていることに敬意を表します. 問題点として挙げられている地域の保健・福祉との連携の困難性について, ご説明をいただきたいと思います. 答 松本衣代:地域の保健婦, ヘルパーの業務時間と継続医療室の活動時間にズレがあり, 連絡がスムーズにとり難い. また, 重度の症例を自宅に帰す場合, 地区の医師から反対されたこともあった. 質問 国立精神・神経センター山口明:重い障害をもつ方の在宅生活継続の場合, 転倒や感冒などのちょっとしたaccidentでADL低下や寝たきりとなる. その場合, リハ科をもつ地域病院の迅速な対応が重要となる. 貴院ではこの面でどんな対策をされているか. 答 松本衣代:重度症例の急変時には当院に電話連絡してもらい, 当直の医師が対応し, 重篤な場合は救急車で当院に入院していただく体制となっており, 家族にもそれは理解してもらっている. |
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ISSN: | 0034-351X |