失語症が重度な脳卒中患者のADL等の予後について
失語症が重度(SLTAにて短文の聴理解が半分以下, 自発単語が半分以下)な脳卒中患者は, コミュニケーション障害, 失行, 片麻痺等があり, ADL等の見通しに困難がある. そこで, 1982年から1988年までに当科に入院した脳卒中患者469名のうち, 対象となる55名を検討した. 内訳は, 男性32名, 女性23名であり, 平均年齢は61歳, 失語のタイプ別には, 全失語20名, 混合型9名, ウェルニツケ21名, ブローカ5名であった. 男女別の食事, 排尿, 室内歩行の入・退院時の自力可の割合では, それほど差はなかった. タイプ別では, 食事は, 入院時の介助は全失語40%, ウェル...
Gespeichert in:
Hauptverfasser: | , |
---|---|
Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 失語症が重度(SLTAにて短文の聴理解が半分以下, 自発単語が半分以下)な脳卒中患者は, コミュニケーション障害, 失行, 片麻痺等があり, ADL等の見通しに困難がある. そこで, 1982年から1988年までに当科に入院した脳卒中患者469名のうち, 対象となる55名を検討した. 内訳は, 男性32名, 女性23名であり, 平均年齢は61歳, 失語のタイプ別には, 全失語20名, 混合型9名, ウェルニツケ21名, ブローカ5名であった. 男女別の食事, 排尿, 室内歩行の入・退院時の自力可の割合では, それほど差はなかった. タイプ別では, 食事は, 入院時の介助は全失語40%, ウェルニッケ10%のみで, 退院時には全失語のみが10%の介助で, あとはすべて自力可となった. 昼の排尿は, 全介助の割合が入院時全失語40%, 混合型22%, ウェルニッケ29%, ブローカ20%であり, 退院時には全介助は全失語のみが16%であり, 全体では約70%が自力可となった. 室内歩行は, 入院時車椅子と介助歩行の割合が全失語85%, 混合型89%, ウェルニッケ81%, ブローカ60%であり, 退院時にはそれぞれ68, 56, 43, 20%で, 自力可となった患者は全体の半数に満たなかった. 入院期間はそれぞれ約6~7カ月で, 全期間では平均11カ月と長期間要した. 退院先は, 自宅・子供宅が全失語で65%で, あとは80%以上を占めた. 質問 大勝病院大勝洋祐:(1)失語の他に種々な症状がADLに関与しているが, ADL障害の内容と脳病変の広がりと重篤度との関係はいかがか. (2)ADL障害の多様な病像の中で, 失語そのものが関与しているのにはどういうものがあるか. 答 長谷川幹:全失語等は, 片麻痺も重度であり歩行できないため, 尿意の訴え等をいかにつかむかが重要であると思います. 質問 川崎医大本芳久:痴呆などの精神的機能障害の影響はどうですか. 答 長谷川幹:痴呆に関しては, 言語障害の重い人には適当なスケールがなく, 具体的に示せませんが, 日常的な場面からは全失語でも痴呆とは考えられず, あるとしても精神的な問題と思います. |
---|---|
ISSN: | 0034-351X |