脳卒中後片麻痺の合併症に関する研究(5)

【目的】我々はこれまで脳卒中後片麻痺患者の廃用症候群についての一連の研究のもとに, 非麻痺側の筋力(瞬発力・持久力)低下と麻痺側および非麻痺側の筋萎縮が著しいことを報告してきた. 筋と関連の深い骨組織についても, 従来の研究で麻痺側上下肢に特に強い骨粗鬆症がみられることは知られている. ただし, 脊椎についての研究は比較的乏しい. そのため今回は第3腰椎の骨塩量について検討した. 【対象と方法】種々の障害度の脳卒中後片麻痺患者131名(男81, 女50)および正常対照21名(男11, 女10)について, 第3腰椎の海綿骨骨塩量をCTスキャナーにて骨量ファントムB-MASを用いてCaCO_3 相...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1990, Vol.27 (7), p.577-578
Hauptverfasser: 大川弥生, 上田敏, 太田喜久夫, 尾花正義, 高畠由紀, 高橋正宏, 太田舜二
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】我々はこれまで脳卒中後片麻痺患者の廃用症候群についての一連の研究のもとに, 非麻痺側の筋力(瞬発力・持久力)低下と麻痺側および非麻痺側の筋萎縮が著しいことを報告してきた. 筋と関連の深い骨組織についても, 従来の研究で麻痺側上下肢に特に強い骨粗鬆症がみられることは知られている. ただし, 脊椎についての研究は比較的乏しい. そのため今回は第3腰椎の骨塩量について検討した. 【対象と方法】種々の障害度の脳卒中後片麻痺患者131名(男81, 女50)および正常対照21名(男11, 女10)について, 第3腰椎の海綿骨骨塩量をCTスキャナーにて骨量ファントムB-MASを用いてCaCO_3 相当量として測定した. 【結果】(1)CaCO_3 相当量は男性では182.2 mg/立方キロメートルと正常対照の80.2%, 女性では129.3 mg/立方キロメートルと73.0%に減少しており, 廃用性骨萎縮が確認できた. (2)歩行・移動レベル別検討では, 男性では院内歩行自立以上の患者では正常の92.6%と軽度の減少だが, 車椅子自立群76.5%, 車椅子要介助群70.6%と著明な減少が認められた(分散分析, 危険率5.6で有意). しかし女性の場合には移動能力による差は認められなかった. (3)8週ごとに経時的変化をみると, 男性では, 院内歩行自立群では8週後には105.2%とわずかながら改善しているが, 車椅子自立群では95.3%, 16週後には89.1%とさらに減少度が進行していた. 一方, 女性では院内歩行群でも99.3%とほとんど変化がなかったが, 車椅子自立群では8週後には95.4%, 16週後には93.1%と減少度がさらに進行していた. 歩行・移動レベルとの関連において男女差がみられたことは興味深い. 質問 北里大前田真治:車椅子自立群では腰周囲筋を使っていると思われるのですが, それでも骨萎縮が進行するのはどうしてでしょうか. 質問 加賀八幡温泉病院山口昌夫:発症後, 8週以前に骨萎縮が始まっていると思うが, 1週ごとの測定はされているか.
ISSN:0034-351X