機能予後予測におけるADL評価の意義
【目的】社会復帰を目指すリハ医療では患者のADLの正確な把握は重要である. しかし, チーム医療実践の中で多職種によるADL評価結果の信頼性は充分に考慮されているとは言い難く, また, 予後予測における院内ADL評価の有用性についても検討の必要がある. 今回我々は予後予測の観点に立ち, 患者の院内ADL評価の職種間の相違について検討しADL評価の意義を考察した. 【方法】当院リハ科医師, PT, OT, ナース計40名が脳血管障害, 脊髄損傷を含む患者36名に対し, 日本リハビリテーション医学会ADLチェック表案を用いて入退院時にADL評価を行った. 【結果ならびに考察】医師とスタッフの評価相...
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Veröffentlicht in: | リハビリテーション医学 1990, Vol.27 (7), p.548-548 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】社会復帰を目指すリハ医療では患者のADLの正確な把握は重要である. しかし, チーム医療実践の中で多職種によるADL評価結果の信頼性は充分に考慮されているとは言い難く, また, 予後予測における院内ADL評価の有用性についても検討の必要がある. 今回我々は予後予測の観点に立ち, 患者の院内ADL評価の職種間の相違について検討しADL評価の意義を考察した. 【方法】当院リハ科医師, PT, OT, ナース計40名が脳血管障害, 脊髄損傷を含む患者36名に対し, 日本リハビリテーション医学会ADLチェック表案を用いて入退院時にADL評価を行った. 【結果ならびに考察】医師とスタッフの評価相違項目数は総25項目中PT 12.5, OT 14, ナース3.5(各中央値)でナースはPT, OTに比べて医師との相違が著しく少なく, この差は1%水準で有意であった. 項目ごとの検討では入退院時含めて, 移乗, 服薬, 排尿および爪のケアの4項目でPT, OTともに医師との不一致率が5%水準で有意であった. ナースは医師と近似した結果であった. これら職種間相違の要因は, ナースは病棟生活で実際しているADLを評価しているのに対し, PT, OTは訓練結果からできるADLに偏る傾向があるためと考えられ, 評価場面およびスタッフの役割の違いが関与していることが示唆された. 今後, 疾患ごとの特徴を把握し機能予後のprospectiveな予想も考慮していきたい. 質問 大口リハ病院足立徹也:できるADLと, やっているADLとは密接に関連しながらも, ある側面では全く異なる評価対象とも言えると思うが, 演者はどのような考えを持って今回の研究を行ったのか. 答 日原信彦:入院時, 退院時における職種間のADL評価のズレの推移や各職種ごとの評価の変化をみること, 退院後の機能およびADL予後の予測をする上での基準となるものをさがすことを考えた. 質問 弘前大福田道隆:先生の調査結果をふまえ, ADL評価を職種間で分担して評価するというお考えを持っておられますか. 答 日原信彦:評価者の役割の違いや評価場によって患者のとらえ方は異なると思いますが, いずれも患者の各場面での能力を表すものであり, 患者のADLを包括的にとらえることが重要と考えています. 今のところADL評価の職種による分担は考えてません. |
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ISSN: | 0034-351X |