7. 呼吸麻痺を伴う頸髄損傷の2例
呼吸麻痺を伴う頸髄損傷の2例のリハビリテーション上の問題点につき検討した. 【症例1】12歳, 男子. 鉄棒の練習中, 鉄棒より落下, 受傷した. C3以下の運動知覚機能脱失を認め, 自発呼吸もなかった. X線像上, C3/4の脱臼が見られた. C3/4の前方固定術を施行した. 受傷後1年3ヵ月の現在, 経口的に食物摂取可能なるも, 四肢の知覚運動麻痺に変化なく, 副神経麻痺も残存している. 呼吸運動麻痺に対しては, 人工呼吸器を使用している. 【症例2】41歳, 男子. 交通外傷にて受傷した. C5~6以下の運動麻痺, 第5肋骨高位以下の知覚脱失があり, 呼吸は努力性の腹式呼吸であった. X...
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Veröffentlicht in: | リハビリテーション医学 1989, Vol.26 (6), p.457-458 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 呼吸麻痺を伴う頸髄損傷の2例のリハビリテーション上の問題点につき検討した. 【症例1】12歳, 男子. 鉄棒の練習中, 鉄棒より落下, 受傷した. C3以下の運動知覚機能脱失を認め, 自発呼吸もなかった. X線像上, C3/4の脱臼が見られた. C3/4の前方固定術を施行した. 受傷後1年3ヵ月の現在, 経口的に食物摂取可能なるも, 四肢の知覚運動麻痺に変化なく, 副神経麻痺も残存している. 呼吸運動麻痺に対しては, 人工呼吸器を使用している. 【症例2】41歳, 男子. 交通外傷にて受傷した. C5~6以下の運動麻痺, 第5肋骨高位以下の知覚脱失があり, 呼吸は努力性の腹式呼吸であった. X線像上, 骨傷は見られなかった. 脊髄造影検査中に自発呼吸運動障害出現し, 挿管した. C3~5の前方固定術を施行した. 術後も, 人工呼吸器から離脱できず, またC4以下の知覚運動脱失は残存している. 受傷後3年時, 携帯用人工呼吸器を車椅子に搭載して退院した. 受傷後4年6ヵ月の現在も, 週1回, Dr, Ns, が往診している. 【考察】この2例の治療過程で, 多くの問題点が挙げられた. (1)呼吸管理および呼吸器合併症の予防, (2)在宅を可能とする携帯用人工呼吸器の検討, (3)義務教育期間中の患児に対する教育問題(4)退院後の生活設計(環境制御機器設置, 家屋の改造等)などである. 呼吸麻痺を伴う頸髄損傷は, とりわけ悲惨な病態であるが, 患者のquality of lifeを少しでも高めることが肝要である. |
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ISSN: | 0034-351X |