18. 小脳性運動失調に対するPNFの効果-皮質覚醒レベルとの関連
PNFを用いた運動療法は小脳性運動失調(SCD)患者の運動技能の向上, 運動障害の進行予防・軽減に有効である, その作用機序については, PNFによるSCD患者の中枢覚醒機構の賦活の関与が指摘されている. すなわち, 健常者における反応時間(RT)研究で, 基本肢位(N)におけるRTはPNF促通肢位(FA)で短縮することが明らかにされている. すなわち, 肢位・姿勢変化によって行動覚醒が起きる. 同様な覚醒反応が脳波でもみられ, 姿勢変化によって脳波覚醒が起きる. SCD患者ではこのような覚醒反応がみられないが, PNF施行によって健常者と同様な行動, 脳波覚醒が起きるようになる. 今回はNか...
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Veröffentlicht in: | リハビリテーション医学 1989-09, Vol.26 (5), p.352-352 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | PNFを用いた運動療法は小脳性運動失調(SCD)患者の運動技能の向上, 運動障害の進行予防・軽減に有効である, その作用機序については, PNFによるSCD患者の中枢覚醒機構の賦活の関与が指摘されている. すなわち, 健常者における反応時間(RT)研究で, 基本肢位(N)におけるRTはPNF促通肢位(FA)で短縮することが明らかにされている. すなわち, 肢位・姿勢変化によって行動覚醒が起きる. 同様な覚醒反応が脳波でもみられ, 姿勢変化によって脳波覚醒が起きる. SCD患者ではこのような覚醒反応がみられないが, PNF施行によって健常者と同様な行動, 脳波覚醒が起きるようになる. 今回はNからFAへ肢位を変化させたときの大脳皮質の血流量の変化について検討した. 4例のSCD患者に対してPNF施行前, 施行後のNおよびFA肢位での脳波等電位図, PNF施行後のXe吸入法による脳血流量を測定した. その結果, PNF施行前では肢位変化による脳波覚醒は欠如していたがPNFによって脳波覚醒反応が得られた. 脳血流量はNからFAへ肢位を変化させることによって大脳皮質全体の血流量が非特異的に増加し, 皮質覚醒がひき起こされた. これらの結果から, (1)SCD患者は中枢覚醒機構障害があることが推定される, (2)PNFは行動覚醒, 脳波覚醒, 皮質覚醒をひき起こす, (3)PNFによる固有感覚入力は大脳皮質を経由する, ことが確認された. |
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ISSN: | 0034-351X |