8. 歩行開始時の筋活動

【目的】歩行は周期動作としてとらえられ, 種々の手法で分析が行われている. 周期的な連続動作といえども歩行開始の時点では何らかの筋活動が起動力となって生体に力学的変化をもたらし, 静的状態から動的状態に移行して歩行動作が遂行される. 安静立位肢位から第1歩を踏みだすときの下肢と体幹の筋活動について分析した. 【対象と方法】対象は健康成人男子20例, 年齢は19~30歳(平均22歳), 全例右利き手であった. 筋は左右の大腿直筋(Q), 内側ハムストリングス(H), 前脛骨筋(T), 下腿三頭筋(G)の活動を表面筋電図により導出し, 100mm/secの掃引速度のペーパーオシログラムに記録した....

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1989-07, Vol.26 (4), p.252-252
Hauptverfasser: 斎藤宏, 江原皓吉, 木島博保, 薄葉真理子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】歩行は周期動作としてとらえられ, 種々の手法で分析が行われている. 周期的な連続動作といえども歩行開始の時点では何らかの筋活動が起動力となって生体に力学的変化をもたらし, 静的状態から動的状態に移行して歩行動作が遂行される. 安静立位肢位から第1歩を踏みだすときの下肢と体幹の筋活動について分析した. 【対象と方法】対象は健康成人男子20例, 年齢は19~30歳(平均22歳), 全例右利き手であった. 筋は左右の大腿直筋(Q), 内側ハムストリングス(H), 前脛骨筋(T), 下腿三頭筋(G)の活動を表面筋電図により導出し, 100mm/secの掃引速度のペーパーオシログラムに記録した. 立位肢位から右下肢を一歩踏みださせ, 信号から筋活動開始までの時間を各対象で20試行について測定した. 一部の対象では体幹筋についても測定を行った. 【結果と考察】歩行開始時に最初に活動する筋は支持脚の左下肢のQ(平均175msec)で, 次いで左のT, 右のT, 左のHの順となり, 最後に活動する筋は左右のGであった. 信号後10秒間の筋活動量は左のTが最も多く, 次いで左のH, 右のTに多く, 右のQと両下肢のH, Gの活動はわずかであった. 一歩踏みだす動作は最初に支持脚の安定性を得る. 遊脚への移行は腸腰筋の働きが大きいものと考える. 下肢筋の活動に先行して左腹斜筋の活動がみられ, 予め重心を支持脚側に移動する合目的性を持った活動と考えられる. 質問 福島県リハ飯坂病院 三浦英男:歩行開始時silent periodがみられませんでしたか. 答 斎藤宏:(1)筋活動開始と実際の身体運動開始は異なる. 後者についてはみていない. (2)安静立位からの1歩踏みだしでは切り換え動作にみられるようなsilent periodは定型的にはみられない.
ISSN:0034-351X