7. リハ病院におけるL-P shunt術の考察

正常圧水頭症(以後NPH)は, 1965年Hakin, Adamsらの報告以来, 髄液圧は正常であるにもかかわらず, 脳室の拡大があり, 臨床的には痴呆, 歩行障害, 失禁の3主徴を有し, Shunt術によりこれらの症状が改善されるものとされている. 我々は昭和62年6月以降, NPHが疑われる患者に腰椎くも膜下腔腹腔shunt術(以後L-P shunt術)を行い, 良好な結果が得られたので報告する. 【結果】(1)L-P shunt術は手技が簡単で手術時間が短く腰椎麻酔でも可能なため, 全身状態が悪い老人に適している. (2)特発性2例, くも膜下出血後1例, 脳梗塞8例を含む脳血管障害後1...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1988-09, Vol.25 (5), p.366-366
Hauptverfasser: 古閑博明, 浅山滉, 古閑今朝輝, 紫藤泰二, 出口義宏, 今居裕淑, 富田潤一, 佐保修二, 生田拓也
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:正常圧水頭症(以後NPH)は, 1965年Hakin, Adamsらの報告以来, 髄液圧は正常であるにもかかわらず, 脳室の拡大があり, 臨床的には痴呆, 歩行障害, 失禁の3主徴を有し, Shunt術によりこれらの症状が改善されるものとされている. 我々は昭和62年6月以降, NPHが疑われる患者に腰椎くも膜下腔腹腔shunt術(以後L-P shunt術)を行い, 良好な結果が得られたので報告する. 【結果】(1)L-P shunt術は手技が簡単で手術時間が短く腰椎麻酔でも可能なため, 全身状態が悪い老人に適している. (2)特発性2例, くも膜下出血後1例, 脳梗塞8例を含む脳血管障害後14例と典型的なNPHと言えないものが多いが, 17例中15例(88%)に効果が認められた. (3)4例(24%)にshunt機能不全が出現し, 1例はV-P shunt術後症状改善し, 1例は自然に改善した. 2例は経過観察中である. (4)Metrizamide CT cisternograhyは手術適応の一指標となり, 術後はshunt効果の確認に適している. (5)Shunt術の有効者では術後頭部CTで脳室の縮小およびPVLの改善がみられ, 単純頭部CTもshunt効果の目安となる. (6)軽度改善例でも尿便失禁は消失し, すべての動作でスピード, バランスの改善がみられるため, 介助者の負担が軽減し, L-P shunt術は痴呆老人の家庭退院に有効な一手段と思われる. 質問 鹿児島大医療技短大 浜田博文:かなり結果が良好ですが, 平均年齢が70歳前後で, 特発性も含まれていたとのことですが, tonusがあり, CT上脳室拡大があるが, 更にdiffuse cortical atrophyも伴っていたような症例はありませんか. もしあれば, そのような症例のL-P shuntによる効果はいかがでしたか. 答 古閑博明:皮質のatrophyもある例も含まれており, そのための脳機能低下もあると思われる. しかし, 立位バランスが良くなり, transferの状態が良くなった程度の人でも尿便失禁はなくなり, 介助量が減り効果はあったと思われる.
ISSN:0034-351X