10. 頸髄損傷の初期リハビリテーションの問題点-脊損専門重度身体障害者更生援護施設からみて

当センター入所後に自立したADLの状況とその要因を検討し, 初期リハにおける問題点を指摘した. 【対象】昭和57年1月から61年9月までに入所した106名のうち, 入所時40歳未満の男性完全四肢麻痺者43名(C5A B6名, C6A2名, C6B-I 12名, C6B-II 12名, C6B-III 8名, C7A B3名), 平均年齢27.1歳, 平均受傷後期間3年6か月【方法】ADL162項目の自立度を入所時およびプラトー時に評価し, 各レベルごとに改善の状況とその要因について検討した. 【結果】(1)入所後にすべてのレベルでADLの改善がみられた. (2)C6B群, C7A B群で床上...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1988-07, Vol.25 (4), p.252-252
Hauptverfasser: 太田喜久夫, 野嵜晃一, 木村伸也, 尾花正義, 大川弥生, 江藤文夫, 上田敏
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:当センター入所後に自立したADLの状況とその要因を検討し, 初期リハにおける問題点を指摘した. 【対象】昭和57年1月から61年9月までに入所した106名のうち, 入所時40歳未満の男性完全四肢麻痺者43名(C5A B6名, C6A2名, C6B-I 12名, C6B-II 12名, C6B-III 8名, C7A B3名), 平均年齢27.1歳, 平均受傷後期間3年6か月【方法】ADL162項目の自立度を入所時およびプラトー時に評価し, 各レベルごとに改善の状況とその要因について検討した. 【結果】(1)入所後にすべてのレベルでADLの改善がみられた. (2)C6B群, C7A B群で床上 入浴 排泄 家事動作の改善が著明であった. (3)全対象で改善率50%以上を示したものは, ベッドから車椅子に移る, 入浴前後の準備 始末, 背中を洗う, 座薬の挿入等17項目であった. (4)自助具等の使用状況:入所後新たに自立した者は尿集器の装着24名, はしごひもによる起きあがり動作30名, 座薬挿入器の使用23名など, 自助具の工夫とその使用法の指導が重要と思われた. (5)車椅子3分走もすべてのレベルで改善がみられ, その要因として車椅子の改良, ドライブフォームの改善, 残存筋力の増強, 体力の向上が考えられた. (6)以上の結果より, 現在の頸損の初期リハにおいて不十分なものとして, これらへの対応が必要と考えられる. 質問 国立療養所箱根病院 秋庭保夫:(1)ADL面(特に入浴, 排泄動作)での改善で, 最も大きなファクターは, 自助具, 施設面での違いと, 身体的機能面での改善のどちらの比重が大きいと考えられるか, (2)入浴 排泄面での自助具使用, 動作指導の面での主体は, OTではなく, 看護サイドが中心なのか. 答 太田喜久夫:入浴 排泄動作が改善した理由としては, (1)自助具の問題(作成と指導), (2)施設(入浴設備や板じきトイレ)の問題, (3)機能的な問題として体力の向上, 技能の問題が考えられる. この中で自助具の作成や指導, 技能, 体力などの問題も初期リハで更に対応してほしい. なお, 受傷後入所期間の対比は検討していないが, 受傷後入所期間が1年程度と短かった時期の入所者のADLは, 現在の入所者よりも改善していたとの印象を持っている.
ISSN:0034-351X